worksは8/24に更新しました.

江戸時代に近づく

なんでだか知らないけど、江戸時代に
惹かれる。
 
政治的な歴史に興味があるとか
武将や当時の著名人の物語が好きとか
そういうことではなくて、
単純に昔の人がどういう暮らしを
していたのか、に魅力を感じる。
 
200年前に新宿を歩いた人は、
どういう景色を見ていたんだろう。
1800年代の地元は、
どんな雰囲気だったんだろう?
 
資料に写真が残っていれば
垣間見れるが、決して戻ることがないし、
景色の記憶って受け継ぐのに難しいので、
覚えている人がどんどん減って、
しまいには誰もみたことのない世界、
ということになってしまう。
 
今住んでいる場所を散歩すると、
古そうなお地蔵さんや、道標が
あるんだけど、年代を見ると
「嘉永6年」とか書いてある。
 
江戸時代の人と同じモノを前にして
同じ場所に立っている…
どうしても時間的に地続きだ
ということを忘れてしまう。
 
昔というのは、ある意味
パラレルワールドのような
SFの世界観みたいだが、でも、
フィクションではなく本当にあった。
というところに、ドキドキする。
 
ラジオでも、
山田順子さんの
ユカイな江戸暮らし
だったり、
マンガでも杉浦日向子の
風流江戸雀」など、
市井の日常に迫った描写があると
とってもわくわくする。
 

 
もっと驚くのは、
どんな声で、どういうしゃべり方を
していたんだろう、ということ。
 
なぜ、驚くかというと、
写真ができるよりも
ずっと前の日本人のしゃべり方を
記録したものがある。
 
室町時代に日本に来た
キリシタンの人々が、
ローマ字で日本語について書いている。
 
わーお!と思う。
 
室町時代に文字を書く人は
そう多くもなかったろうし
書くにしても喋り言葉とは違うはず。
 
表記と発音が必ずしも一致しない。
 
ところが、外国の人がローマ字で
記録するのは、「音」の方。
文通ではなくて、会話する必要が
あったから、なのかな。
 
それを見ると、
「はひふへほ」の発音は当時
「ふぁ,ふぃ,ふ,ふぇ,ふぉ」だったそうな。
 
「母」は「ふぁふぁ」
「上」は「うふぇ」
「頬」は「ふぉふぉ」
「言わない」は「いふぁない」
にわかに信じがたいが、そうだったらしい。
 
記録する価値がある、と思う人がいたから、
今も残って、ありがたい。
江戸時代でも当時の喋り方を
残した記録がある。
 
式亭三馬という戯作者が、
江戸時代後期のお風呂屋さんでの客の
ことばつきを徹底して写生して
『浮世風呂』という滑稽本を書いたという。
6代目三遊亭圓生『浮世風呂』はこちら。)
 
それから、これは明治に入ってから
なんだけど、落語を速記した記録が
本となって出版されたらしい。
 
とにかく、江戸時代の生な雰囲気に
触れられるような機会があると、
とてもうれしい気持ちになる。
どことなく、背筋を凛としたくなる。
季節の匂いが薫って来る気になる。
 
…今日、実は書き始めた時は、
パネルでぽんの話をしようかと
考えていたのに、だいぶ話が
それてしまったな。

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