イメージ筋力
自分のことなのに、
ちゃんと説明ができない…!
ということがあります。
たとえば、
絵の描き方の心得みたいなもの。
自転車に乗る方法を
言葉で説明するのが難しいように、
絵の描き方のコツを説明するのも
すごくむずかしい。
きれいな豆乳鍋を作りたいはずなのに、
作っているうちにどんどん豆乳が分離して
浮かび上がってきてしまうみたいに、
「コツ」や「心得」を言葉にすればするほど
大事なものが分離して、
なんかちがうものになってしまう気が
するんです。
「最近うまく描けない」と思うときに
それをみて見返して初心に帰りたい、
とか思うんですけど。
*
ためしに過去に書いていたものを挙げると
「細部ではなく、常に全体をみて」とか、
「一筆一筆が快感であれ」とか…。
こういうのを見ていると
なんだか泣けてきます。
だって、いくらこんなのを
書き溜めていても、
描けないものは描けないんだから。
*
そんなときに、YouTubeで
あ、こういうことなのかも、
という解説動画をみつけました。
坪田信貴さんという「ビリギャル」の
先生だった人の動画なんですけど、
「意味のある音読の仕方」について
話していたんです。
世界史の教科書を音読してみて、
といわれて、とりあえず読んでみる。
そのあとに、教科書を見ないで
読んだ内容がどういう話だったかを
覚えている範囲でいいから話してみて、
と言われると、案外覚えていないんです。
(激しくわかる!)
一字一句字面を読むのに集中していて
意味は全然頭に入ってきていない…。
今度は、「覚えよう」と思って、
頭の中で自分なりに意味を解釈しながら読むと、
一字一句同じではないにしろ、
ちゃんと、その意味するところをざっくりと
話すことができたんです。
*
これ、似顔絵を描くときと同じじゃん!
と思って衝撃でした。
ぼくは顔を似せたいわけじゃなくて
写真の雰囲気まるごとをとらえたいと
思う派なので、
下手をすると、写真を図形のように
とらえてしまって
(ちょうど音読を一字一句読むように)
肩は鼻と頬の境目あたりから出てて、
目のラインと肘の先が同じ線上にあって…
とか考えてしまうんです。
そうなると、単なるパズルになってしまって
「感情表現」どころではないんです。
自分の描いている絵よりも、
写真を見る時間の方が長かったりして…。
それよりも、
この人はどんな気分だったんだろう?
とか、
そのしぐさの意味するところとかを
想像しながら自分の絵をじっと見つめる。
写真を見たくなるのをぐっとこらえて、
仕草と気持ちを自分で解釈してみると
微妙に動きがずれていても
よく表現ができていると思えるんです。
*
形を写し取る力じゃなくて、
頭でイメージする筋力をつけた方がいいと。
デッサン力じゃなくて、
絵にどんな意味付けをするのかを
描き終える最後の一筆まで
イメージし続けていることの方が
限りなく重要なんです。
*
わかっている方にとっては
なにを今更、なことかもしれませんが
イメージ筋力を今日から鍛えていこうと
思います。
2022/07/19