worksは8/24に更新しました.

車内にて

電車に乗っていると、
いろんな人がいて面白い。
 
ひとりの人はそうでもないが、
家族連れがとくに面白い。
 
大袈裟にいえば、その家の
閉じられた世界を
垣間みれたような気がするから。
 
面白かったのは、
こんなこと。
 

 
眼鏡をかけた男の子が
お父さんとお母さんの間に
はさまれて、
本の中に顔を埋めていた。
 
彼らが乗り込んでから、
ちょうど6駅目、男の子が
本から飛び起きるように顔を上げて、
「あ!ぼくだ!」と叫んだ。
 
ぼくを含めて周囲は驚いたが、
彼の両親は冷静な顔で、
「あと二駅よ。」という。
少年は、再び本に顔を埋める。
 
こういうことが、家では
よくあるんだろうな。と思う。
 
月夜の列車
 
他にもこんなことが。
 
両親とふたりの姉妹。
6才と3才くらい。
お姉ちゃんとお父さんが
算数の話をしている。
 
お母さんとあやとりをしていた
妹が割り込んで、
「ごーたすごーたすって誰?」
という。
 
とっさに姉が
「イスタンブールに住む
モンスターよ!」
といい、妹を泣かせてしまう。
 

 
こういう面白さは、
まったくの他人とは
作り上げることはできない。
 
何年も生活をともにした
ものたちの間でしか
できないもの。
 
密閉させて熟成発酵して
立ち昇ってくる
濃い匂いみたいなもの。
 
いいなあ、と思って
席を立つ。
乗り換え駅に到着したようだ。
 

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