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未来にも効くはげまし

大学生の頃、公文式の採点の
アルバイトをしていたんだけど、
あるとき子どもから
「せんせいって字かくのはやいね」
と言われたことがあった。

大学生の頃というと、
スケッチをものすごくし始めた
時期であった。

スケッチといっても絵ではなくて、
文章で。

不安や、いやだなと思った事、
いいことや、思いついたこと、
読んだ本のこと、聞いた音楽のこと
などなど、ジャンル不問で
ぼんやり頭の中をよぎったことを
どんどん書いていた。

これがとてもおもしろくて
ストレス解消になるから、
できるだけ思ったことをたくさん
書いていた。

思った瞬間に早く書きたいので、
自然と書くスピードも速くなる。

だから、速く書く、というのが
ぼくの中の人知れぬ特技かもな…と。

それが確信となったのは、
「かくのはやいね」の一言が
決め手であった。

…公文の子に言われた一言を
覚えているのは、
今でもメモ帳に文字を書いていると、時々
あの子の声が思い出されるから。

美術予備校に通っていた頃の話。

課題が日々出され、
制限時間の中で仕上げる…
という繰り返し。

どういう絵にしようか、
なかなか思いつかないと
描写の時間が足りなくなる。

そんな日に、冷や汗とともに
なんとなか仕上げた時、
「よく仕上げたじゃん、ガッツがあるね」
と講師に言われたことを
今もなお、よく覚えている。

というのも、
それ以来、締め切りの危機があると、
「ガッツがあるじゃん」の一言が
思い出され、そうか、と
励みになったりするから。

同じく予備校の時、
手のデッサンをしていたんだけど、
めずらしく、良い評価をもらえた
ことがあった。

すると、学校のクラスにいたら
絶対に関わらないであろう
女番長みたいなこわもての
すてきな女子が、
「それ、なんでそんなに柔らかく
描けんの?」
と、声をかけてくれた。

それ以降、絵を描くのに
悩みだすと、女番長の一言を思い出す。

自分では気が付かないけど、
あ、そんな長所が自分にも
あったんだと、気付かせて、
思い出させてくれる。

自分の褒められた話なんて、
手前味噌ですみません。

「あのときのさりげない一言」が、
その後、やたらと後を引いて
励みになるってことがあるんです。

これを読んでいるあなたにも、
「あのときの一言」がきっとあるはず。

それは、困ったときに、
自分の気をとりなおしてくれるきっかけ
となるから、とてもありがたい。

過去の一言が、
未来の自分にも効くということが
すごい効力だなあと思う。

…そう思えば、
「いいな」と思ったことは、
できるだけ本人に伝えた方が良さそう。

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