もしも夜が
都内にいつ大型の地震がきても
おかしくないって言われている。
時々、「いま来たら」と
思ってみるけど、実際
どうしたら良いか分からない。
どこが安全なのか、どう逃げれば良いのか。
動かない方が良いのか。
あ、バックの中に水も食べ物も無いや。
どうしよう、と思う。
細いビルの5Fに用事があって行ったとき
なんかは、ここで多分死ぬんだろうな。と
よぎってしまう。死んだら困るよなあ。
災害の災害たる所以は、
「いつ起きるか分からない」
というところにある。
大きいものほど、何十年に一回
という長いスパンがあるから、
あったことを忘れてしまうのも
所以のひとつ。
過去にそういう事実があったにもかかわらず、
その頃の当事者は今はもういない。
ぼくらもどう危ないのか、体験していないので
よく分からない。
*
さて、”災害はいつ起こる分からない”、
そして”次の発生までのスパンがとても長い”、
ということを踏まえて、
寺田寅彦は「こんなことがあったら…」
と想像していた
もしも、夜が何十年に一回きり、
いつ来るか予測がつかないものだったら。
そもそも夜は災害でもなんでもない。
なにしろ毎日来るものだから。
しかし、一年中昼間のような
明るい地球だったとしたら、
「夜」は災害になるのかもしれない。
たとえば、電灯はほとんど発展しないかも
しれない。室内でつかわれても、
野外に電灯を設置するなんて、
冬に冷房をつけるようなものだし。
懐中電灯とか、車のライトとか、信号とか、
全部浸透していないとおもう。
そこへ夜が来てみると、
全くの真っ暗闇になるはずだ。
一切の照明がない夜の世界は、
大混乱が起きるような気がしない?
車はぶつかりあい、誰かが高い所から
すべって落ちて、火をつけそこねて火事になり
スーパーではここぞとばかりに
盗みに入る人もいないともかぎらない。
夜も災害になりかねない。
*
そして、逆を言えば、
毎日決まった時間に、津波がくる。
決まった時間に地震が来る、噴火する。
なんていったら、
完全に安全な対応策がとられるだろうし、
ナイアガラの滝を見に来る感覚で、
特殊な自然現象を体験できる観光地に
すらなりかねない。
毎日大きな自然災害(現象)が起きてれば
人はそれを当たり前の様に回避するんだろう。
対策自体が生活の一部になるだろう。
*
それが、ごくたまにしか来ないもんだから、
常に「いま来られると困る」という状況にある。
明日も明後日も、その次の日も、
大きな地震がくる
というつもりでいたら、
具体的にぼくらはどうしたら
死傷者0人でいることが出来るんだろう。
地震がきたら成り立たない、という
仕組みで東京はできている。
地下鉄をやめてみる、高層ビルは壊して
低くて絶対的な耐震性のある建物にする。
高速道路は地表に据える、
不安定な構造のものは片っ端から
無くしてみる、、。
そんなことは無理だから、
東京はもう手遅れなんだと思う。
地震が絶対「来ない」前提で作られている。
でもいつかはでっかいのが絶対来るんだから、
今度からは、地震が絶対くる、という
前提で街が作られればいいな。
2015/09/21