リラックスできるフレーズ
がんばらないでいられるなら、
できるだけ楽をしていたいと
思うタイプなので、
本やネットで、「許容」的な
ワードを見ると、
ホっとしてしまう。
たとえば、
「何にもしない、が集中を作る」
「適度な休憩が効率をあげる」
というライフハック術のフレーズ。
だよなーと思う。
宮崎学のふくろうを追った本
「森の365日」には
夜中の撮影で、緊迫した日々を
過ごしていると、
おしっこをしている時が
一番安心する、みたいなことが
書いてあって、不思議と
読んでいるこちらも、ホッとする。
井上ひさしの「吉里吉里人」の場合だと
主人公である情けない小説家古橋が
とにかく締切を守れず、周りに
迷惑をかけまくっている下りは、
あっという間に読み干してしまう。
あれ、もうないの?と。
*
少しの間でも、周りのしがらみから
自由になっている瞬間。
気がつくとこれを欲していて
だからか、そういう言葉が目につく。
もうひとつ、寺村輝夫の
かいぞくポケットシリーズ1
「なぞのたから島」にもあった。
とつぜん、
海賊の船長になった男の子が、
白猫のアイコ(じゃんけんのあいこが
由来)に
「きみはもう、りっぱなおかしらよ。
もう、だれのいうこともきかなくて
いいのよ。
だれにもしかられることもないし、
じぶんの思うとおりにやればいい。」
といわれる。
クリームをたっぷり入れた
ロイヤルミルクティを飲んで、
口もとに泡をつけたような
リッチな気分になる。
*
自由にしてもいいと言われたら、
すべてを書き換えたくなる。
たとえば、窓の外には、
駐車場や国道…ではなく、静けさが。
それも深い山奥よりも、
どちらかというと里山で、
荘厳な自然よりも、整然とした
植木や畑があるような、
静かな庭が見えている。
それと、少しの土地の隆起を
確認できる。
晴れよりも、台風よりも、
雨あがりのくもり。
真夜中よりも朝方。
暖炉の火。少し離したとこに
ふつふつと湯が湧いている。
建物は大きく、廊下は長い。
部屋はこじんまりとして
土と草の濃い匂いのする空気が
窓からゆらゆら入ってくる。
長年住んでいる家なのに、
まだ開けたことのない部屋、
降りたことのない、
登ったことのない階段、
手にとったことがない本が
いくらでもある。
談話室、という響きがいい。
そこには自分に興味をもつ
数人がいて、自分の話を
聞きたがっている。
…というような。
想像するだけなら、いくらでも。
2018/05/10