永久機関
年をとると体力がおとろえるとか、
脳の活動が弱まるとか、
お肌があれるとかっていう。
植物でも、こういうHPでも、
ちゃんと日々お世話しておかないと
だめになってしまうとか、
夢や希望もいつかは忘れるとか、
そういうことって本当によく言われる。
理系的な言い方をすれば、
どんなに水を熱して沸騰させても
ほうっておけばいずれ冷めてしまう、
とか、
スーパーボールはずーっと弾んでいるけど、
しばらくすると、弾むのをやめてしまう、
とか。
永久に力を失わないものなどない。
SFやファンタジーではあったとしても、
現実にはそうはいかない。
そういうふうに、ぼくたちは
思い込んでしまっている。
まったく残念だと思う。
でもね、と思ってみる。
リチャード・ファインマンという
物理学者(1918-1988)が、
「熱をもつ仕組み」を説明するときに
こんなことを言っているんです。
ー
「熱い」とか「冷たい」とかというのは、
実は原子が震える速度によるんだ。
震えかたが激しければそれは熱いことに
なるし、少なければ冷たい。
(中略)
僕はものが震えると言ったが、
ポンポン跳ね返っているボールを
頭に思い浮かべると、その動きが
だんだん鈍くなって、しばらくすると
止まってしまうのを知っているだろ?
ところがだ、原子の場合は
完全な弾力性を想像する必要がある。
原子は全然エネルギーを失わないんだ。
だから原子はいつまでも
跳ね返り続けて何も失わない。
原子どもは永久に動きつづけるんだよ。
「ファインマンさんは超天才」
岩波現代文庫より
ー
冷めるのは、振動の伝搬によって
「揺れ」が少しずつ隣に移動する、
というだけで、
本来は力は永久に持続するのだという。
*
ここから急に文系な展開になるけど、
それって、気持ちとか信念みたいな
ことにも、
同じことが言える気がする。と
つい思いたくなる。
本当になりたいことや、やってみたいという
熱意みたいなものは
原子と同じで永久に持続する。
日々の気分に左右されて吸収されることは
あっても、本当は水面下で途絶えることなく
つづいている。
それを忘れないでいたいなと思う時に、
ファインマンさんの話を読むと、
とても元気になります。
2014/07/31