好きなこと尽くし
もしも、自分の家に、
実はまだ一度も開けたことのない扉、
降りたことのない階段、
足を踏み入れたことのない部屋が
あったとしたら、
…どうだろう。
わくわくが止まらない。
家の外に出ると近所の
丘なりになった雑木林に
背の高い古城が
立っていたり、
道を行くと突然、
山中になって古い温泉宿が
あったり。
近所なのに、全然しらない場所に
行けた新鮮な気分を味わう、
という夢をたまに見る。
*
季節の始りにあるような
気持ちのいい新しい匂いを
思いっきりかいだときのように
さわやかな心地なんだけど、
目が覚めたとたんに、
平坦などんより感が戻ってくる。
現実には全然そういうのがないから、
まったくつまらない。
よーく知り尽くしている、
と思っている場所に
まだ知らない部分があった、
というのは、
前人未到の遠い異国へ冒険するよりも
冒険のように感じる。
全然知らない場所に
来ているはずなのに、
いつでも歩いて帰れる距離という
ところが興奮ポイントだ。
*
それとはまた別かもしれないけど、
大きなデパートを歩いている時。
洋服を売ってる店舗をのぞいて、
壁の辺りに服がたくさん掛かっている
ラックがあって、
そこをかき分けると見ると、
なんと向こう側が
誰かの家のクローゼットに
なっていた。
あるいは
洋服ラックのかき分けると
ふかふかでふわふわ素材のベッドの上。
公の場所に、ものすごく個人的な
スペースが唐突に現れると、
これまたどきどき、わくわくする。
*
あとは、
今まで知らなかった兄弟が
実はいたとしたら、
というのにもわくわくする。
いないはずの姉がいた、とか、
妹がいたとか、弟がいたとか。
うお!あれ?
そうだっけ?いたっけ?
みたいな夢を見ると、
起きた時残念な気持ちになる。
*
そういえば、
自分の本棚を見ると
見おぼえのある本ばかりが
並んでるはずだけど、
なかに、見おぼえのない一冊が…
『なぞの娘キャロライン』
カニグズバーグ著。
ざっくりと概要をみると
いないはずの姉が、突然やってきた
という話。
なんという!
よし、読んでみよう。
2018/10/08