地球に乗って風を旅する
今ここ、東京の神田川付近のこの場所に、
つめたい風がふわふわ吹いている。
大体が、周りの環境的に(幹線道路や工場で)
いい空気ではないんだけど、
時折、すっきりした綺麗な心地のする
風も吹く。
その風の快さで、
ちょっと旅に迷っているような
妄想がふくらんで、気分がいい。
そこで、思う。
もとをただすと、いま、目の前に
吹いている風は、
どのくらい遠くから運ばれて
きたものなんだろう。
*
そもそも、義務教育を経ても
「風の出所」という身近な疑問も、
解き明かされない、というのは、
どうしたもんか、と思うけれど、
ちょっとだけ調べると、
地球規模の大きな風の流れとして
偏西風、貿易風というのがあって、
それが日本にも影響を与えていると。
偏西風、貿易風ってたしか
学校で習った気がしてきた。
習ったのに、知識として扱えていないって、
要するに自分自身の好奇心の問題なんじゃ
ないかって思えてきた。…反省します。
*
まず、貿易風の基準は
赤道(緯度0度)。
赤道は、太陽からの熱を
一番受けやすいので、空気が温まり、
上昇していく。
空気が抜けていくイメージなので、
気圧も低くなる。
(雨が降りやすいので、
熱帯雨林のイメージ。)
その抜けていった先、
大体、北緯30度くらいまで
(右斜めに)北上したところで、
冷めていき、
そこで空気が立ち往生する。
…にも拘わらず次から次へと
空気がやってくるので、そこら一帯は
込み合ってぎゅうぎゅうになる。
だから気圧も高い。
(あまり雨が降らない)
そのあとは、下降して、
赤道方向へ戻っていく。
という赤道と、北緯30度までの循環。
北緯30度というと、チベットとか、
サウジアラビアとか、メキシコとか。
たしかに乾燥しているイメージ。
ちなみに、日本の北緯は
35度が中心とされているので、
風の由来は、貿易風関連ではないなと。
*
次に偏西風。
…の前に、北極から、北緯60度までの
循環の話。
北極で空気が冷え、高気圧で下降すると
北緯60度まで南下して温まり、
低気圧となり、また北極へ戻っていく。
繰り返すけど、日本は35度くらいなので、
日本の風は北極由来でもない、
ということが分かる。
*
そして、本題である偏西風。
赤道からの循環(0から30度)と、
北極からの循環(90から60度)の間を
ぐるぐる回るのが偏西風。
(60度から30度あたり)
ここに日本が当てはまる。
偏西風を辿れば、もしかしたら、
風の由来を辿れるかもしれない。
…
ところで、
風って基本的にまっすぐ進むんだけど、
地球は回転しているので、
ぼくらからすると、風の方が
横に動いているように見える。
風のない日でも、車に乗って
窓を開けると、
風が吹いてくる現象と、まあ、
似たようなもの。(たぶん)
つまり、風の方がぐるぐる回って
いるように感じると。
西から東へと、北緯30度から60度の
間を帯のようにぐるぐる回っていると。
(実際は地球が回っているんだけど)
こんな感じで、「偏西風帯」という
ゾーンで空気は流れている。
東京は北緯36度なので、
その帯でいうと、
中国はもちろんのこと、
(黄砂がやってくるとか言うしね)
地中海や、エーゲ海、
ギリシャのロドス島などもある。
流れに流れて、ぼくたちは、
このあたりを旅してきた風に
吹かれている…
というより、地球の回転にのって、
ぼくらが風の中を旅している
ということもできそうだ。
*
と、ここまで、かなり
怪しい情報を頼りに探ってみたけど、
偏西風って、高度が1万メートル以上の
話だし、
地上に吹いている風というのは、
実に細かで複雑な動きをしている。
偏西風は西から東へ吹いている、
というが、地上では、
東京湾のあたりから、
陸の方へ吹くように
東側からくることもあるし。
他にも、高気圧の日と、
低気圧の日で、
風の由来(でどころ)は変わるだろうし。
…とおもうと、
高気圧のときは、割合高度の高い
空気が降りてくるので
地中海やエーゲ海がわずかでも
やってくるのかもしれないな。
2020/07/15