「あいうえお」どうぶつ合唱団
以前、段音のトーンという仮説を立てた。
あ段なら「あかさたな…」
い段なら「いきしちに…」
う段なら「うくすつぬ…」
…。
1つの母音だけ使って文を作ると
なにか、各段音に特有のトーンが
見えてくるのではないか、という仮説。
それぞれの段に独特の音のニュアンスが
あるのだと思う。
たとえば、あ段は明るくて、
ひろがりのある音。
い段は細く、鋭いような音。
う段は、こもったような、やわらかい音。
え段は、気の抜けた、間抜けな音。
お段は、低く、重厚な音。
同じ段音だけを使って文章を作れば、
口に出して読んだとき、
あ段ならあ段独特の感触を
味わえると思った。
ある種、心地よい違和感というか。
*
でも実際は必ずしもそうならない。
上記した音の印象にも例外はあったし、
「え、いまのあ段だけだったんだ」
という案外違和感がなかったりする。
じゃ、独特の味わいってのは何だろう
なんて悩むんだけど。
具体的に作ってみたのはこんなの。
あ段
「あざやかなあさ」
「やまはたかだか」
「パパはハダカだった」
「わがままばあや」
「バッタなかなかった」
「まっかなかさがからまった」
「さらわったバラバラ」
「やまんばははかばだ」
「はなさかばあや」
「たなばたさらさら」
と、こんなところ。
「あ段」だけだから、多少なりとも
明るい音で広がりを感じるかと思ったが
案外そうでもない。似合う音ではあるが。
1つの母音だけなのに、雑然とした
要素を感じるのはなぜか。
答えは子音。
音を出す上で口の中で一番アクティブに
動くのが子音の音を出すとき。
いくら、母音が一定でも、
子音がそこそこ動いていると、
なかなか自然に聞こえてきてしまう。
母音が克明に浮き上がる、という
訳でもなかった。
でも思った。
母音は奥のベロの高さと、
口を開く大きさで決まる。
これを一定にするというのは、
動物の声真似みたいじゃないかと。
あ段なら「カラス」カーカーの口でいえる、
い段なら「さる」きききの口でいえる
う段なら「ぶた」ぶうぶうの口でいえる、
え段なら「やぎ」めえめえの口でいえる
お段なら「うし」もおもおの口でいえる。
と設定して、うたにしたら
なんかおもしろそうだな。と考えてる。
1つの母音「しか」出せないはずの動物が
じつは色んな歌をうたえたのだった。
なんていう。
子音と母音についての考察はまた次回。
2017/05/26