LULU
小学生くらいの頃に、
おもしろいなあと思ったことは
大体ずっとあとになっても覚えて
いたりする。
ふだんは忘れていても
押入れの奥の底に溜まっている
匂いみたいに、
なつかしいモノが取り出されたとき
ふわっと舞う。
そういう埃っぽい匂いは
時々心地よかったりする。
季節の匂いなんかもそうで、
梅雨の時期の草の青々した
匂いをかぐと、
昔を思い出してうれしくなる。
梅雨は、じめじめして、汗もかくし、
蒸すから気持ち悪いけど、
庭には猛ラッシュのように
草や木の葉が茂って、朝露を
つけてたわわに風にゆれる。
健康の無敵状態というか、
ぐいぐい伸び放題な草花をみると、
たまらなくうれしくなる。
*
種類は変わるが、懐かしいといえば、
小学校のころにやったPCゲームで
(セガサターンからも
出ていたみたいだけど)
「LULU」(ルル)という変なゲーム。
たまたま、思い出して
検索してみたら、プレイ動画が
あがっているではないか。
※ぜひ見て。
これがまた売れそうにない
アクション性の低いゲームで、
19世紀くらいのフランスが舞台の
本の物語。
だが世界観が半端なく良い。
ふつう本の中の主人公は、
自分が本に書かれた人物だ
という認識はない。
でも、主役のルルという女の子は、
宇宙から旅をしてきたロボットの
ネモとかかわっているうちに、
自分が本に描かれた存在であること、
その外側に出れば、
本の時間も空間も自由に旅が
できるのだということを知る。
実際、本を切り抜いたりして、
お城から砂漠まで瞬間移動して
みせたりする。
この設定の奇妙さと、
音楽と絵の世界観に魅せられた。
という記憶がある。
*
さて自分の話だけど、
せっかく、こどもたちに
なにかを作るチャンスがあるのだから、
LULUみたいに奇妙で、
おもしろくて美しいという
感じが記憶に残るものを作りたい。
自分が変な場所に来てしまった
という感覚を持続できるような。。
2017/07/02