言葉を生きているまま
昨日は調布にある「すこっぷ」という
児童発達支援事業の表現療育というクラスに
ゲスト講師として参加してきました。
今回は、かるたにした
『こんなかおしてあいうえお』で
あそぶという内容です。
これまでに、なんども
すこっぷで遊ばせてもらいながら
こちらも経験値を積ませて頂いて
いるのですが、
これまでの経験上、
3歳~5歳くらいの大人数に
ことばを楽しんでもらうとき
文字や絵だけの提示では
人によっては
飽きられてしまうんです。
なので、必要なのが
体の動きと、声で。
体を大きく、小さく動かしたり、
変な動きをしたり、声の抑揚次第で、
にこにこ聞き耳を立ててくれたり
するんです。
ざわついたときにも、
スタッフさんの「とうもろこ、し~」
の掛け声で、みんな面白いくらいに
静まってこちらを見てくれたり。
そんなふうに、
あいうえおのたいそうや
からだを動かす絵本を読んで
いっしょにあそびつつ、
かるたの絵や文字をおぼえ…
結果的にかるたはたのしく
大盛り上がりになりました。
*
そこで気が付いたことが
ありました。
ふだん、ひらがなを覚えたり、
ことばを勉強しようとするときって、
「記号としての文字とむきあうこと」
なんだよなあと。
一方で、会話するときとか、
しゃべりながら自然と音で言葉を
覚えていくときって、
体の動きとか、身近な人の声の抑揚とか
が重要になってきますよね。
たとえば、
「ね?」「ね~え?」「ねえっ!」
みたいに、同じ文字でも言い方や抑揚で
意味合いを変えていますし。
ことばというよりも、
どちらかといえば、音楽っぽく。
そして、声を出せば
向こうから反応が返ってくる
生きた言葉としてふれているから、
面白いんだと思うんです。
*
ところが、
ひらがなを読む、とか、
書き言葉の練習になると、
記号としての「文字という図形」と
どう向き合えるか、みたいな
ことになってくる。
言い方が、こう
大変によろしくないのですが、
しんでしまった言葉の標本と
向き合っているという感じ。
それはそれで必要なのだと
思うのですが。
*
でも、だからつまらないと
感じてしまうことが少なくないのでは。
言葉って不思議で、
言葉は文字だけじゃなくて、
体の動きや、抑揚の付け方や
五感をとらえながら、はじめて
その言葉が活き活きとしてくる。
活き活きしている言葉って
たのしい。
ひらがなが読めるようになったり、
書けるようになるタイミングに、
「ことばって活き活きして、
たのしいものなんだ」
という思いを持ってくれると
いいんだなあ、と思いました。
2021/07/04