自立心
以前、インスタの投稿で知った本
「地球に生きる」関野吉晴著(毎日新聞社)
を読んでみました。
というか、ほとんど写真集なので、
眺めてみました。
*
アンデス、グァテマラ、アラスカ、
シベリア、ヒマラヤ、東アフリカ
などなど、
比較的自然の厳しい…
人が住むのに必ずしも最適の場所
とはいえない土地で
暮らしている子どもたち。
日に焼けた肌、土埃にまみれた服、
冷たくて真っかになった頬、
もしゃもしゃの髪の毛。
それは、肌は透明感がある方が美しく
土は汚いもので、過酷な寒さには暖房で、
髪の毛は床屋さんや美容室で整えてもらうもの、
ということが常識になってしまった
日本では、ちょっと違和感を感じるかも
しれないけれど…
そもそも、よく考えたら、
身だしなみって、だれのために整えるんだろう?
と思うんです。
誰かまわりの人によく見られていたい、
という欲のかたまりではなかったかな?
(必ずしもそうではないと思うけれど)
むしろ写真に登場する子どもたちの方が
地球に親しんでいるただしい姿なのでは
と、この写真たちを見ていると、
思えてきます。
*
最後の「あとがきにかえて」を読むと、
「自立心」という言葉に目が留まりました。
人にこびないで生きているという。
著者がモンゴルを旅しているとき、
牛追いをしているところを
正面から写真で撮ろうとしたら、
牛の群は、目の前に現れ
カメラを向ける著者に反応して、
バラバラに散ってしまった。
そのとき、牛を追っていた人に
すごい剣幕の声で叱られたんだそうです。
その牛追いが、なんと
7歳の女の子だったというので、
びっくり。
わたしは子どもだから、とか、
気を遣って、とか、
嫌われたらどうしようとか、
逆に怒られたらどうしようみたいな、
そういう心のゆらぎがない。
自分自身に自然に、正直でいられる。
自然の中で生活をしている実感と、
自信や誇りがある証拠なんだろうな。
*
こういう思いって、うまく言葉にできません。
んーそうか…と、あおぎみる気持ちで、
想像することはできても。
下手に言葉にしてしまうと
実感のともなわない知ったかぶりっ子に
なってしまうので、
あまり多くは書きませんが、
敬虔なきもちに近しい気分、でした。
*
いまの日本とは全然違った価値観、
けれど、
土の上で生きている、
太陽の陽ざしの下で、
肌で直接味わっている彼らを見ていて、
気持ちのよいことばかりではないと
思うけど、だからこそ、
生活それ自体に生きる実感や自信が
みなぎっているんだなあ。
2021/06/19