空気の本より、風の本が多いわけ
空気について、いろいろと調べていると
圧倒的に「風」を主題として本が
多いことが分かります。
「空気」を主題としているものは、
科学の本という体裁をしたものが
ほとんど。
(まどみちおさんの「くうき」という絵本は
例外だけれど。)
なんでなんだろう?
*
というか、風の存在は、
肌で感じるので吹けばわかるもの。
感じやすいし、分かりやすい。
歴史上からも、古くはエジプト神話にも、
風の神がいるくらいだから、
紀元前3000年くらい前からの付き合いが
あるみたいです。
それ以降、ありとあらゆる呼ばれ方で
風は神様として、妖怪としても
親しまれてきたようですが…、
一方、空気のことが知られたのは、
1700年代の科学者によって。
空気は目に見えないし、
風となって動かないと
五感で感じられない。
匂いや音も空気の成すわざなのだけど
なかなか気が付けない。
当時の科学者たちは、
化学実験のなかで目には見えないが
何かしらの反応によって「気体」が生じる
ということがわかり、
それを、突き詰めていくと、
実験の中…だけじゃなくて、
日常生活のなかにある、
「無」だと思っていた今ここにも、
なにかあるんじゃないかと
気が付くんです。
空気が発見されたのは、
空気という「モノ」がある、
ということで、
言い換えると
「なにもない、などない」
という驚くべき発見で
あったと思います。
五感でとらえることができない
一見すると「無」のように
思えるけれど、
そこには空気というモノが
ぼくたちに実は大きな影響を与えている、
と。
*
知識を知っているから、
そこから考えたり、想像したりできる。
それが空気。
一方で風は、
五感で感じるし、
風車や凧あげ、台風での被害など
あきらかに自分たちの生活に
目に見えて現れる。
風は知識がなくても感じられます。
「風ってきもちがいいな。」
「そもそも、風ってなんだろう?」
「風は、どこからふいてくるんだろう?」
などなど、
自然とこういう疑問もわいてきます。
だからこそ、昔から多種多様な神様や
妖怪が信じられてきたんじゃないかと
思うんです。
日本でも、風神、かまいたち、風狸、
風の又三郎、北風小僧の寒太郎、精霊風
…
それに比べて、空気は
知識を必要として、そのうえ
想像の上でしか分からない。
感じられない。
だから、空気は科学の名のもとに
生まれたもの、という印象が強いし、
空気に親しむには、
年齢もそこそこ上がってくるんだろうな。
*
続きはあした。
2021/06/21