worksは8/24に更新しました.

読み手都合の本のはなし

「世の中にはいろんな本がありすぎる。」
「本は飽和状態で、
本の業界が売れにくくなっているのはそのせいだ」
とか思っていたが
関西にある話題の書店に行ってきて、
その帰り道すがらには考えが変わっていた。
 
「本にはいくら種類があっても困らない。
むしろ嬉しいことしかない。」と思った。
もっと、へんてこでマニアックなものだとしても、
例えそれがつまらない出来でも、
無視すりゃいいから、読み手としちゃ別に困らない。
 
本が増えるというのは、
自分の興味の網にかかる本の可能性が
増えるということに他ならない。
これは読者視点での話。
 
出版業界についてよく聞く話は、
大概悩ましい話題。
売れない、元気がない、まるで本そのものが
衰退しているかのように思えてくる。
 
だけど、それは本を作っている人の観点で
見られている世界観であって、
読み手にとっては、どんなに少人数しか好まない本でも
「好む人には絶対に必要だ」という本がたくさんある。
どんな本だって、あればあっただけいい。
 
そもそも本とはその人の目的を手助けするために
存在するものだと思う。
目的意識を持っている人にとっては、
(他に人にとってはなんでもない本でも)
重要な助言者になってくれる。
 
本がたくさんあれば、
今、タイムリーで必要だと思っていることに
答えてくれる可能性が増える。
だからインターネットが本にとって変わるのだけど、
より「もっとちゃんと知りたい」と思う人は
インターネットでは手に入らないような情報のある
世にもおもしろい内容の本があるのだから、
(その書店に行って実際いい本に出会えたので
その経験から)
ちゃんと出会えておきたい。
 
意思(面白そうだと思うけど、よく分からん、
というもやもやした気持ち)を持った人が
ちゃんとした本に出会える場所。
これが案外少ない気がする。
京都の「誠光社」という本屋はそれをちゃんと
叶えてくれたように思えた。
 
読者にとっては、今大事なのは、
本の編集というより、本屋の編集なんだなあ。

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