猫とクラクション
猫と接していると、
「いまなんて言ってるのかな」
と思うことがある。
スマホのアプリで、
猫語の翻訳機能があることからしても
なかなか多くの人が、
動物と会話したいと思っているはず。
「にゃお」という声が、
猫同士ではきっと、なにか、こう、
ハッキリした言葉の意味で
聞こえているに違いない、
みたいに思いたくなる。
でも人間がしゃべるような「ことば」が
猫にあるとは限らない。
抑揚はあっても発音はごく少ないし。
もっと違った感性で話しているのかも
しれない。
猫好きであれば、そういう猫の感覚を
自分も味わってみたいと思う。
*
じゃあ、逆に人間の世界で、
動物みたいな単なる鳴声で会話している
シーンはないものか、と思う。
言葉ではなく、一つの音を出すだけで
相手とコミュニケーションをとる。
ぼくは車のクラクションに
近いものがあると思った。
プーってやられると、威圧感で
問答無用で焦らされるみたいだし。
反対に「わるいね」とか「ありがとう」
みたいな感覚でも「ぷ」ってされる
こともある。
あんな単純な音で、
結構いろんな表現ができるのだ。
ぼくらが猫に対して思うことは、
たとえば、ビルの屋上から
道路で鳴らされる無数のクラクションを
聞いて「あのクラクションは、
いまなんて言ったのかな」
と思うようなものだろうか。
当事者としては、
これはそういうことね、と
直感で分かるけど、
遠くで聞いている人には、
分からない。
もっと猫にのりうつる気持ちで
なりきってみれば、
もしかしたらもっと
猫の言い表したいことが
伝わってくるのかも。
2014/12/29