潜在的なともだち
インスタやっていて
「面白い」と思うことと、
ぼくが高校3年生の時に通っていた
美術予備校の「面白さ」とが
似ていると思うんです。
高校生活っていうのが日常で、
人との付き合いかたは、
外見や、表面的な自分、それから
だれと友達でいるかということに
左右されていたと思う。
クラス単位で、とか、
部活単位で、とか。
同じ学校でいても、知らない人の方が多い。
だれかに割り振られ、限られた範囲で
付き合う。
だから、馴染む、馴染まないが
けっこう顕著だったりしますよね。
外見って結構壁だったりするし、
趣味も趣向も違うランダムな人が
40人くらい謎に集められて
一緒に勉強をしなければならない。
*
ところが、
3年生から通い始めた美術予備校では、
それが一変したんです。
その人を、どういう人か判断するのが
外見や表面的なところだけではなく、
「どんな絵を描くのか」という視点が
追加されるんです。
そこで、趣味や趣向や、内面が
見え隠れする。
描いている絵を見て、
外見を見る限りでは今まで
全然縁がないと思っていた人に、
「あれ、この人のセンスいいな」と
惹かれる気持ちが芽生えたりも。
それで仲良くなったりすることが
とてもたのしい。
真面目で無口そうな暗い人と、
クラスの中心人物的な人が、
仲睦まじく話している、みたいな姿は
予備校では当たり前でした。
まったく見ず知らずの人たちの
集まりなんだけど、
絵を描く、という名のもとに
集まっているから
お互いに刺激になるのです。
*
SNSでもそういうところがあって。
最初にリアルで会ったら
絶対に知り合いにすらなっていない
ような人たちとやりとりできる。
そこで交換するのは、
社会的な立場とか、関係とか、
外見や性別や年齢という分類じゃなく、
(インスタグラムなら)
そこに投稿される作品や写真やことば。
いわゆる「表現されたもの」だけ。
直に内面とリンクできたような
うれしさがあります。
社交的ではなく、
リアルな人付き合いは、
限られた数人だけで間に合っていて、
内にこもっているのが
好きな自分にとったら…
その内側で直接知り合える、
ということが、すごくいい。
潜在的なともだちって
たくさんいるんだなと思います。
*
最近も、とあるインスタライブで
自分の描いた絵について
解説している方がいたのですが、
その人が
「あーこれ、描いたのが3年前だから、
どういう気持ちだったのか忘れちゃった」
って言っていて。
これ、どういうことかと言うと
裏返しに言えば、
絵を描く時は、必ず自分の気持ちが
絵に反映されている
ということで。
絵(に限らず表現するってこと)の
醍醐味ってそこだよなあ、
とあらてめて思ったんです。
自分の気持ちが表れているから
魅力的になる。
どんな気持ちであったとしても。
「ぼくはどうだっけ?」と
自分自身に問いかけると、
あ、そうか、自分の気持ち…
ちょっとないがしろに
していたかもしれない。
こういう反省と刺激をもらえて、
ほんとうにありがたいです。
2021/06/01