明るい悩み
youtubeをみていてたら上野千鶴子という人が
突然出てきて、なんだこの人はと思った。
社会学者で東大の名誉教授、NPOの理事長を
しているとだけ聞いても、ちょっとよくわからない。
だけど、なにが「なんだこの人は」かというと、
ラジオ番組や、対談で、徹底的に議論をふっかける
天才なのであること。
社会学者としては、あるいは研究者としては
議論は正しい態度だ、という。
そりゃそうだけど、
普段人と会って話していると
なるべく人の輪を乱さないとか、
仲良く、人を傷つけない、嘘ではないお世辞もすこし、
なんていうことを、ついしてしまう。
彼女はこういう「やさしさ」とは、
あえて距離を置いている。
でも自分の理想にはそぐわない現実というか、
もう一方の視点からみた反対意見っていうのは
なかなかうけとめがたい。
個人的な立場からすると、時には怒ったり、
悲しんだり、無視したり、要するに
それ以上、思考停止状態にしてしまいたくなる。
けれど、学者の視点、というちょっと距離をおいた
立ち位置でいれば、
その理想が心地よかろうが、
気持ち悪かろうが、
議論して客観的な良さを探ることが
本質であることがわかる。
*
そんな面白い人がいるから…
じゃあ、このyoutubeをずっと聞いていれば
自分も、何かがよくわかるのか、というと、
そうでもない。
お客さんとしての、「単なる聞いているだけ癖」
がついてしまって、自分で考えることが
なかなか難しくなる。
耳からイヤホンを外すと、あれ、なんだっけ
と、突然まっしろになる。
聞き流し癖がついて、人の話も、よほどの
興味がなければ、ぼーっと話を聞いてしまう。
聞きすぎるのも、よろしくない。
自分で考えることが大事。
考えることが、深い悩みであればあるほど、
考える意味もまた深い。
*
ディズニーの「クマのプーさん」に
“think,think,think”
というセリフがあって、しかめつらで頭を抱えて、
悩む姿が印象的に記憶に残っている。
考えることは苦手であるが、好き。
だって、立ち止まって考えることは、
なにも、悩む「ため」ではない。
プーのように、しかめつらが、ぱっと
明るくなって、「oh,yes!」を
見つけるのが、考える本来の目的。
自分に見えている景色が、
明るく変わる、ということが
「考える」「作る」ことの一番の目的。
話し合いや議論も、双方客観的に
「良きに変える」ことをわかっていなければ、
議論の途中で、「怒り」や「悲しみ」が
議論の巨大な壁になる。
最初の話にもどるけど、
上野千鶴子は徹底的に考える良さを
気づかせてくれる。
2016/07/18