worksは8/24に更新しました.

道の発見

グーグルマップを見るのがたのしい。
と一時期思っていたけど最近はそうでもない。
 
理由は単純で、見れる画像が「道からの風景」
しかないから。
 

 
いったん話はそれるけど、
引っ越した先の図書館をチェックしに行ったとき、
廊下一面に「リサイクル図書」というボックスが
ずらりとならんでいた。
 
「おひとり何冊でもご自由に」とある。
しめた!
古本屋にもないくらい古くて、さながら宝探し、
もはや誰にも触れられてなさそうなものばっか。
だからこそ、レアな本が見つかった。3冊も。
 
「川と湖」という科学のしかけ絵本。
「地図のけんきゅう」というこれまた科学の絵本。
いい本みつけた、とほくほく。
他の人はどうかしらんが、
ぼくには興味がある本なんです。
 
あともう一冊が、「人間の土地」という文庫。
知っている人は知っている有名なやつで、
星の王子さまのサン・テグジュペリの本。
読もうと思って読んでいなかったが、
こんなところで出会っては、読んでみようか、
という気になる。
 
ざっくり言うと、郵便の飛行機乗りであった
著者のエッセイ。
人が生活する土地と土地の間にはばかる
厳しい自然が、いわば仕事場のひとつ。
そこを飛び越えて、郵便配達をする。
 
だれもまだ降り立った事がなかろう砂漠、
高山、そして空よりの視点から描かれている。
 
その、日常ではない特殊な場面で、
彼はさまざまなことに気が付く。
 
たとえば「道路は僕らを欺いていた」
ということを発見する。
 
今までは、道路をすべて行き尽せば、
この町のすべてを見尽したことになる、
というふうにおもっていた。
 
しかし、本当は道からは見えない土地がある。
飛行機は直線で飛ぶ。
道を見ると、曲がりくねっている。
どうしてだろう。
 
なぜなら、道は不毛な土地、
荒々しい砂利ばかりの場所、砂漠を避けて通る。
人間の欲望のままに泉から泉へと
行くものだ、という。
道は人間の欲望から、欲望へとつなぐもの。
ということを発見する。
 
オアシスに出るために何度も
迂回する。
それが道の作られ方であって
人の住む視界である。
豊穣なものをえり分けて、見えるように
している。
 
あたかも、自分たちが豊かな場所に
暮らしているように見えても、
実のところ、すぐ近くには到底人が住むには
難しい土地が潜んでいたりする。
 

 
見たいものだけ、見て心地よいものだけが、
人の暮らしを作っている。
という意味では、
渋谷のおいしい牛肉のお店に、
当たり前のように並ぶ女子たちが(自分もふくめて)
牛が屠殺されている場所に立ち会う、
というような構造と似ていると思う。
 
今でも、比喩として読むと、
意味のある話だと思ってしかたない。
 
自転車で散歩するときも、
道路伝いにはない、ちょっと茂った林の奥に
面白い景色を見つけたりする。
 
道の上を歩いているだけでは
見えてこないものも、
見えていないだけで、現実に存在する。
 
そういうものを、掘り下げてみたら、
なにか生きる態度が変わりそうな気がする。

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