大人少年
ジブリ美術館のサイト内にある
週刊「挿絵展」がおもしろい。
昨年の6月から始まった企画展、
「挿絵が僕らにくれたもの」展
〜通俗文化の源流〜
にかかわる話題を西岡事務局長
という人が毎週更新し、
その魅力の一端を紹介するというもの。
*
特に「みんな大人の世界」という記事が
興味深かった。
英国で17〜19世紀の間に続いた
農業革命、産業革命によって、
それまで農業、牧畜を中心に
生活していた国民は
都会に進出し都市を形成する。
それまで労働力とみなされていた
子どもたちが、都市では学生として
教育を受けるようになり、
この機に、教育や娯楽のための絵本が
続々と出版され始めたようです。
*
その当時の挿絵には、
乙女も勇者もモンスターも
みんな大人として描かれている。
当時の子どもたちは、いつか
大人になって冒険に出たい、と
思っていたかもしれない。
「子どもがやって良いことと、
できないことがきちんと
決められていた時代のお話です。
当時の子どもたちは
「早く大人になりたい」と憧れたものでした。」
(引用)
そうなのか、と思う。
あまり大人に憧れることがなかった自分は
実感としては掴めない。
一方で、戦後のアニメやマンガには
子どもが主人公になるケースが
増えていくのだという。
「戦争によって大人が極端に少ない時代
であったことも理由のひとつですし、
大人は日々の生活のために働くことを
強いられていたために余裕がなく、
比較的自由に冒険に身を投じることが
できるのが、子どもだけだったから
という理由にも因るようです。」
(引用)
今も同じだと思うし、現在の方が
子どもより、若い大人のほうが、
現実とは違う世界に冒険したい!という
思いの方が強いのでは、とも思う。
現在の子どもたちは、勇気を
奮い立てなくてもある程度
不自由なく生きていける。
一番「何事にも負けない少年」に
ならなければいけないのは、
僕ら(20代)の世代なんじゃないか。
2013/03/26