くうきのつけもの
小学校のころか、中学校のころか
よく覚えていないのですが、
空気には重さがある、という話を
授業で聞いたとき、
えーそうなの!?とにわかには
信じがたかった記憶が。
青空のもと、いま自分が立っている
1メートル四方だけを区切っても、
なんと10トンもの重さがあるんだって。
実際にはそう感じないので、
そんなわけないのにって思う。
*
よく覚えているのが、それに対する説明。
空気の重さを感じないのは
「押し返す力」があるからだと。
空気の重さという、
実感の湧かない力について解き明かすのに
押し返す力という、
これまた実感の湧かない力が用いられて、
余計に、どういうこと?ってかんじ。
*
物理学者のファインマンさんは、
そんなとき、魚の話をしてくれる。
魚が深い海の中で
水圧につぶされないのは、
魚の体の中にも同じ水圧の海水が
たっぷり含まれているからだと。
もし魚に
「深海の水の重さで苦しくないの?」って
聞いたら、
「え?水の重さってなに?」
と答えるだろうね、と。
それと同じように、
人間は空気の「深海」に沈んで暮らしている。
そして、まるでスポンジのように
人間の体にも空気がたっぷりとしみ込んでいる。
そしてぼくらは「くうきの重さってなに?」
と答えるんだ。
*
きっと口から呼吸するだけじゃなくて、
体全体で空気がとりこまれ、吐きだされ、
ひたひたに、もうほんと漬物レベルに
空気と一体化している。
地上の生き物は、
くうきのつけもの。と言ってもいい。
空気は浮かんでいる。
と思っていたけど、
溜まっているというのが正しい。
それもとてつもない重さで。
…もうちょっとくうきについて書きたいので、
またあした。
あと229日。
2021/05/19