空気の重さのはかり方って知ってる?
大昔の学者たちが
真剣に議論していたことも
今となっては当たり前、
なんてことがよくあります。
「空気に重さはある?」
と聞かれたら、そりゃ、あるよ、と
今なら答える。
でも、2300年前のアリストテレスや、
1800年前のプトレマイオス、
1400年前のシンプリキオスは、
それぞれ、空気の重さに対して
違う答えを持っていた。
どうして大昔の学者たちを悩ませた
問題なのに、今のぼくらは
いとも簡単に答えられるんだろう?
それは、
ただ知っているだけだから、です。
知っているだけで
真剣に考えたこともなければ、
実験をしてみたことも、そのために
計算を繰り返したこともない。
「ただ知っている」そこで、
空気に対する実感は終わり。
*
じゃあ、空気の重さは
どうやって測ったんだろう?
そう考えてみると…正直なところ
分からない。
だってさ、普通にはかろうと思って
ビニール袋に空気を集めて
きゅっと結んで、はかりに載せて…って、
「空気の中で空気をはかる」って事でしょ?
それって、たとえば湖の中に
コップ一杯の水をいれて、
「コップ一杯の水の重さ」をはかるのと
同じで、はかれるはずがない。
ふたをしたコップごと湖に沈めても同じで、
周りも水で、コップの中身も水だったら、
コップ分の重さしかはかれない。
(ふたをしようがしまいが、コップの中は
水でいっぱいになるからね)
じゃあ、昔の人はどうしてたんだろう?
*
アリストテレスは、空気は重い説。
「空気で膨らませた皮袋は
からっぽのときより重い」と。
「宇宙の中心は地球」という説を
長いこと信じさせてきた彼だから、
実際に目で確かめたり、
徹底的に実験した、
というよりは哲学の延長線上
つまり思考だけの空想だったりもする。
だから、これは「十中八九」的な考えで
「空気は重い」と結論付けたのでは。
*
プトレマイオスは空気は軽い説。
「皮袋に空気をつめても、重くなるどころか、
からっぽのときより軽くなる」と。
多分この人も、ガチの実験をした
というよりも、空想上で考えたって感じ。
これは完全にぼくの妄想だけど、
水の中ではかれば、空気の重さが
分かるのではと思ったんじゃないか。
水の中なら空気は浮くし。それなら、
空気は軽いという判断をしても
不思議じゃないよね。
もしくは熱した空気に注目したか。
(空気は温度によって、体重が変わる
不思議な物質なのです)
*
シンプリキオスは、空気には重さはない説。
この人は超真面目で、
本当に実験して確認したんだと思う。
空気を入れた皮袋と、からっぽのものを
はかりに載せてみた。
そら、そうだよね。
空気の中で空気ははかれない。
*
…時代を経ると、
真空の状態を作る技術が生まれる。
空気をはかるなら、真空状態を
作らないといけない。
真空状態の中で空気をはかるというのは
水を(水中ではなく)地上ではかるのと
同じで、
空気の場合も、周りに他の空気がないから、
純粋にその重さがはかれるというわけ。
*
空気の重さについて、
もうちょっと書きたいので、
続きはあした。
2021/05/18