部屋のなかのイルカ
目の前に、宙に浮いたボールがあります。
水をこっぷに注ぐと
こっぷの中に水が溜まっていくように、
そのボールに水を注ぐと
水はこぼれることなく、
ボールの表面に溜まってく。
表面にたっぷりと水が
波うって
窓の外の景色を反射させながら、
ちらちらと光る。
顔を近づけながら、じっとみる。
さながら、球のコップ…
といえばいいんでしょうか。
水を湛えたボールは、
いまもなお、目の前に浮かんでいる。
…
こういう話をすると、
変に思うかもしれないし、
そんなのこの世に存在しないと
思うかもしれないけど、
いま、ぼくたちが立っている
この地球が、その球のコップなんです。
そう思うと
どんな魔法よりも不思議だと
思いません?
見る視点を広げて、
いま自分たちが暮らす視野と、
地球規模、宇宙規模の視野とを
相対的に比べてみると、
この世はとんでもなくファンタジーな
印象に変わって見えてくるんです。
*
空気の重さ、についても
ちょっと視点を変えると、
別の世界に旅行にでも来たような
気分になれます。
そもそも、空気って重さを
感じないじゃない?
だから、「空気を持ちあげる」という状態を
想像もできないと思う。
*
ではまず
簡単な空気の重さの計算方法を
お教えしましょう。
いま、あなたの住んでいる部屋には
どれくらいの空気が溜まっているのか。
平米×天井高×1.2Kg=空気の重さです。
うちだったら、
35平米×2.5m×1.2kgなので、105kg。
宇宙服を着て、真空の広場にたって、
でっかいビニール袋(重さは限りなくゼロ)の
中にうちの部屋の空気をいれて、
持ち上げてみようとすると…
鍛えたアスリートならもてるかもですが、
ぼくにはもてません。
ちょうど大きなイルカが1頭分。
くうきのイルカが
ぼくの部屋のなかにいるんです。
出て行っては、また入ってきて、
くるんと宙返りしたりしている。
そんなイメージです。
*
突然話は変わりますが、
書くと、ほろ酔いになります。
書く前は「書くことなんてない」
と思いながら、
でも考えているうち、
その考えたことを片っ端から
とにかく書いていくと、
いつのまにか、できあがっている。
ほろ酔いが。
ちなみに、
ぼくはお酒を飲むとすぐ具合が悪く
なってしまうので、個人的には
あまりいい例えではないですが、
多分そんなかんじ。
ガラパゴスなほろ酔いこそが、
モノづくりの必須条件って気がする。
明日もまた空気について書きたい。
2021/05/20