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熱湯をかけたい

個人的な意見だけれど、
いいラーメン屋っていうのは
こうでなきゃ、というものの中に
味やボリュームもさりながら
「お店の構造」にも理由ある。
 
それは何かというと、
カウンターに座ると
厨房の様子が見えるタイプの
ラーメン屋。
これがうれしい。
 
見ていると、
大きな鍋でふくふくと湯がたぎって
湯気が換気扇へ、ふしぎな形に
ゆらめいて吸い込まれていく。
 
水がずっと出しっぱなしに
なっている。
 
それを眺めていると、
だんだん元気になってくる。
 
はー、と魅了されたときにする
ため息をついてしまうくらい、
湯気好きとしては、なかなか、
たまらないスポット。
 
運がいいとお湯をつかった
エンターテインメントショー
掃除もみられる。
 
大鍋で煮えた熱湯を、
床にぽわーっとうちつける。
 

 
水は、お湯になると、音を変える。
注ぐときは、
じゃー、から、
ぽころろろ、になる。
 
音だけではなくて、
作用もかわる。
 
家のキッチンにあるスポンジに
水をかけてもなにも起きないが、
熱湯をかけると、
うーんと伸びをするようにして
くすみのような汚れや、
残っていたわずかな洗剤を
押し出してくれる。
 
あきらかに、熱湯をかけ終わった
スポンジはすっきりした顔をしている。
 
熱湯はほとんどの菌を
滅菌してくれる。
 
それが、目で見てもわかる。
匂いもきれいな無地になる。
 

 
家の隅々まで熱湯消毒したい、
という願望があるのだが、
ラーメン屋は、それを実現してくれる。
 
くすむ床がもうっとした熱い霧に満ちて
あち、あち、あち、と言ってるとこに
大ブラシで、ざっくり、ざっくり
みがくと、さながらサウナ上がりの
ような顔をした床があらわれる。
 
あーきもちいい。
みているこちらもうれしくなる。
 
ラーメンのスープも、
こころもち澄んでいるような
気がする。
 

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