母国語の呪縛
「何語を国語とするか」
なんていう質問は
日本ではありえない。
ところが、ベルギーだと、
「オランダ語」と「フランス語」の二つが
主だって使われているため、
どちらを国語とするか、という状況が
あるのだそうです。
スイスだと「ドイツ語」「フランス語」
「イタリア語」それに「ロマンス語」という
四つの国語を持っているのだといいます。
同じ国に暮らしながら、
「あなたは何語を国語としていますか」
というような質問が、ときに
必要になるのだといいます。
日本では日本語だけ。
これは世界からみると稀らしい。
*
はずかしながら、
ぼくはつい最近まで
複数の公用語をもつ国があることを
知らなかった。
それだけに驚きも大きい。
他にも発音(拍)の数にも
国によって差異がある。
「拍」とは
「あ」「い」とか「が」とか「ん」とか
音の最小単位の種類のこと。
これが日本では112種あるという。
英語ではなんと
86165種もあるといいます。
圧倒的な違い。
日本語の拍の数はとても少ない
ということがわかる。
(この少ない拍の「使い回し感」が
同音語を生みやすい要因だそうです)
“dog”という語を日本では
「ド」「ッ」「ク」という3つの拍に
分けることができる。
けれど、英語では
“dog”で一つの拍なのだという。
“spring”も同じでこれで単独の拍。
「dogをひとつづつ分けて発音して」
ということが難しいらしい。
日本語で例えれば、
「は」を分割して発音して、
というようなこと。
無理な注文です。
*
このように、日本語圏で閉鎖的に
暮らしていると、
外国のことばの常識が
信じ難い、受け入れ難いものとして
立ちはだかってくる。
一つの言葉しか持たない日本では
どうしても視野がこもってしまう。
日本語圏から一歩抜けだしてみると
またあたらしい景色が見えてきそう。
2013/02/02