ことばのロボットいろはちゃん 更新2020/8/5

人はみな「察する天才」

ことばのロボットいろはちゃん
というマンガについて。

もともと、ロボットありきで
着想したわけじゃなくて、
キャラクターは「天使」でも
「宇宙人」という設定でもよかった。

だから、AIと人間の会話の違いだけを
見せたいというわけではなくて、
別のところにも気が付いてほしい。

別のところというのは、
天才的な部分。

なんだかよくわからないが、
ものすごい処理を、一瞬で
こなしている自分(あなた)の脳を
たたえたいのかもしれないな。

「ポスト見てきて」
と言われたら、同時に
「手紙があったら持ってきてちょうだい」
という相手の意図を汲む。

ポスト見てきて
=手紙が来るのを期待している
=来ていたら、その手紙を読みたい
=手紙があったら持ってきてちょうだい
という具合に、
相手のことを察して、
先回りして意味を汲みとる。

ことばにならない領域で
瞬時に判断して
「言われた言葉」以上を受け取る。

(余談として…
会話は察するもの、だとしたら
言葉以前の問題として
相手の状況をみて楽しそう、かなしそう
みたいな想像が大事なのかも。

そもそも、会話は言葉でするもの
という前提に立つことが、
実はナンセンスなのでは…)

個性の時代とも言われるが、
言葉とは「同じである」ことが大事なもの。

(さらに余談だけど、
脳科学者の養老孟司 さんが言うには
個性を本当に大事にしたら皆独りぼっち。

なぜなら、他のだれにもない
自分だけのものって、
理解されないでいられるのが
本来の個性の定義だから。

正確にいうなら、
個性が大事なんじゃなくて、
個性とおぼしき領域をどれだけ
「同じ」にさせるかが大事。とのこと。)

そんなわけで、
「あいまいな会話は、なぜ成立するのか」
時本真吾著(岩波科学ライブラリー)

という本を、面白がって
(ものすごくゆっくり)読んでいます。

◎読むと、マンガではもっと、
「そんな過程があったのか」
というブラックボックスをのぞくような
ものがあるといいな。と思い始める。

…大げさなたとえだと、落語の
風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなのとか。
(↑知らない人はこちら)

こないだテレビで
「香港には三権分立がない」という
報道があった。
「三権分立があると思っていたのに」と
語る人のインタビューも。
そこでニュースは別の話題になってしまう。

はずかしながら、ぼくは
「三権分立ってなんだっけ?」レベルなので
この話題だけみても想像が及ばない。
だから何なんだっけ?と。

のちに調べたら、
三権分立がない
=国民主導ではなく、行政が主導を握る
=行政が暴挙にでたら
歯止めがきかない恐れがある
という思考過程がたとえばある。

それが何かを知っているから、
察しがつく。ということがある。
知らないと察せない。

◎「察する」が過剰になってしまう
ことのおもしろさも描きたい。

だれにも「好き」という言葉を
軽く使う人が、
ほとんど人から「好き」と言われた
ことがない人に、
「好き」と言ったら、
その察しは過剰になりそうだとか。

「了解です」に「!」がついていないと
それだけで、
あ、怒ってる、とか
不満にさせちゃったかな?と
過剰に察してしまったり。

察し力が天才過ぎるがゆえに
相手の意図を超えてしまうという
過程もまたぼくにとっては面白い。

◎「あいまいな会話は
なぜ成立するのか」っていうけど、
あいまいな会話は、
成立しないこともよくある。

「しょうゆ、こんなもんでいい」
冷ややっこにかけながらきく。
「あ、わさびわさび!」
(しょうゆはいらんけど、
それよりわさびが必要という意図)
というと、
「じゃ、もうちょっと
醤油足そうか」と。
(わさびを溶かすように
醤油のバランスをとろうという意図)

会話がなぜ伝わって、なぜ伝わらないか、
自分自身で実践できないがゆえに
そこを観察したい気持ちがあります。

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