2021.07.30

ほんとうにそこにある

ジブリ映画の「耳をすばせば」は
好きな映画のひとつです。

なかでも、しずくがバロンといっしょに
妄想の世界に飛び立つ世界が好きで。

まるで架空の惑星に来たかのような
壮大な風景に圧倒されます。

その背景美術を担当したのが、
井上直久さんという画家さんなのだそうです。

*

彼はイバラードという世界を舞台にして
目を見張るような風景絵画を
いくつも描かれています。

どことなく宮沢賢治のイーハトーブを
想起させたり、
関係ないかもしれないけど、
たくさんの旅行記を書いた
イザベラ・バードの名前のような
ファンタジーの世界旅行と
いったイメージが重なります。

なかでも好きなのは、
こちらの絵。
↑リンク先の絵をごらんください。

海が多層に重なっている
世にもうつくしい現象。

「すべての階層に生命が住み、
それぞれの世界でこの時を過ごしていた」

と井上さんはこの絵に対して書いています。

なにかの暗喩のようでもありますが、
ぼくは、ただただ、この現象を
想像したイメージ力にのみこまれて
うっとりと眺めてしまいます。

*

オイルモーションというのか、
オイルタイマーというのか、
スノードームというのか、
水の中に色のついた油を入れておくと
水の中にもうひとつの水面が
きらきらとさざ波をたてる、
という状況が見れるのですが、

もしも、海水に
「素質の異なるいくつかの種類」が
あって、それが分離して重なる、
という場所があったら
こういう現象が、本当にみれるかも。
と、想像してしまいます。

*

井上さんの多層海は、
実際の海や水での自然現象として難しい。

でも、大気なら…と考えてみると
じつはこういう現象が起きているのかも
しれません。

その証拠として
かなとこ雲があります。

雲が上昇気流とともに
もこもこ膨らんでいくのですが、
あるところまで来ると
それ以上は上に行けなくなるんです。

つまり、大気には見えない天井があると。

それは成層圏と呼ばれて、
下の空気よりも温度に差があって、
そこに層が生まれるのだそうです。

 

今もぼくたちのずっと上空で
イバラードのような多層の大気が
人知れず存在しているようなのです。