きみもぼくも変わってる
雑誌のPOPEYEに坂口恭平の連載が
やっていて面白い。
POPEYEといえばシティボーイの雑誌なので
自分とまったく正反対なのだが、
髪を切りにいくとつい気取りたくなって
読んでしまうのだ。
というわけで髪を切るときにしか
読まないのだが、坂口恭平という人の
ポパイ大学とかいう記事が面白い。
彼のことをよく知らないのだけど、
どうやら躁鬱をわずらっているようで、
といって、本人は病気というよりも
「そういう人」なんだと。
昔でいうなら、神様と交信するような
えーと、なんて書いていたか忘れたけど、
そういう、まじない師みたいな人のこと、
特別であり、かつ必然である人種のひとつなんだ
という。
気分が変わりやすい、
言い方を変えると、憑依体質というか、
いろんな人格を行き交っているというか。
その振れ幅がすごいのだそうだ。
*
でもそれは、ふつうの人でもそうだし、
一人の人が、ちゃんと一人の人である、
という約束の上で生活をしていることに
どこかで違和感が生じてもおかしくない、
という。
自分が自分でいなくなったほうが、
楽に思えることがある。
彼が言っていたのは、
毎日同じ様に通勤したり勤めたり、
仕事上の約束や、過去の仕事のうえに
自分が自分で居続ける、ということが
実は、不自然なことなんじゃないか
というのだ。
かなりのでたらめな想像だけど、
人間のバイオリズム的には
ぼくたちは、変わらないものというより
そこそこ不確定な生き物なんだろうなと思う。
それは一日ごとにも言えるような気がする。
ここでは、説得できる材料がないけど、
「最近どうですかア」というおしゃれな
美容師さんの呼びかけもそこそこに、
読みながら妙に納得してしまった。
自分は昔から変わらぬ自分である。
というものすごく当たり前なことを、
そうでもないもんなんだ、と思えれば
ちょっと楽になれそうな気もする。
いいものか、わるいものか、分からないけど、
人って本当はけっこう変わり続けている。
変わらせないように見せているのは、
環境なのかもしれない。
2015/10/01