「移動手段」比較してみた
電車、バス、車、自転車、歩き、
それぞれの移動手段には、
それぞれの景色の感じ方がある。
比較してみよう。
あなたは、どれが一番好き?
*
【電車】…
車窓から見えるのは、
住宅、ビル、木々。
線路の高さにもよるけれど、
このあたりは、住宅が多めだなとか、
ビルが多いな、畑と木々が多いとかで
その地域の大体の様子が想像つく。
本でいうところの、
もくじみたいなもの。詳細は見えない。
地下鉄は言語道断。だって、窓には
自分の顔の反射しかみえないから。
*
【バス】…
バスは電車よりも、もっと町に
踏み込んでいて、おもしろい。
初めて乗るバスでは、
どこで曲がるかもわからず、
いったいどこに
連れて行かれるんだろう?
というワクワク感がある。
けれど、あ、あそこいい感じ、
という景色があっても無常に
通り過ぎる。
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【車】…
人の運転で乗せてもらうなら、
気分的にはバスと変わらない。
自分の運転の時は、
徐行で細い路地裏を
迷子を楽しむ事もできるが、
そうでなければ、
なかなか景色は堪能できない。
道路から見える景色は、
遠く感じられて
基本的には面白みはない。
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【自転車】…
車ほどの範囲はないけれど、
生活圏内から抜け出すには、
容易なのが自転車。
特にロードバイクなら、
もっと範囲が広がり楽しい。
一方通行、車両進入禁止、行き止まり
もなんのその。
雑木林の中の道だって、
土手のサイクリングロードだって、
景色を楽しむための道が、
自転車には用意されている。
自転車には、他の車両にはない、
特別なアビリティが使える。
技の名前は「たたずむ」である。
その場の匂い、風力、虫の音、
雑草の種類、空の色、建物の詳細、
これらが存在をあらわにする。
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【歩き】…
言うまでもなく、行動範囲が、
急に狭くなる。
だけど、人の話声が聞こえる。
井戸端会議や、帰宅中の小学生など。
他人のスピード感を感じられる。
ゆっくりと接骨院の入口に向かい、
ドアを重そうに開ける
おばあちゃんの様子とか。
草の上を歩くテントウムシが見える。
体のまわりを流れる時間のスピードが
とろーんとする。
たとえば、バスを降りた瞬間とか、
自転車を止めた瞬間とかに
際立ってそれを感じる。
*
お分かりだと思うが、
歩きでも「たたずむ」という
アビリティは使える。
もっと言うと、
自転車に乗っていても、
押して歩けば、歩くモードに
切り替え可能だ。
というわけで、ぼくはもっぱら
自転車派。
2019/07/03