ことばのロボットいろはちゃん 更新2020/8/5

「怠け心が起こったら」

昨日のつづき。

ケストナー博士の叙情詩
家庭薬局」という本について。

この本には用法があります。

まず序文を読み、
次に使用法のページを眺めます。

使用法には、
次の場合に、読むこと」と書いていて、

・年齢が悲しい気分を引き起こしたら
38,65,101,153,251,281,305,340

・貧乏神に出くわしたら
72,92,98,114,150,227,245

・知ったかぶりのやつがしゃべりまくったら
57,128,173,311,331

…のように、処方したい気持ちごとに
索引となっています。

ほかにも、

夫婦生活がだめになったら、
孤独が耐えがたくなったら、
教育が必要になったら、
怠け心が起こったら、
お金に乏しくなったら、
ホームシックにかかったら、
青春時代を思い出したら、
生活の倦怠に支配されたら、
自然を忘れてしまったら、
自身がぐらついたら、
同時代人に腹が立ったら。

のように気になる項目がたくさん。

さて、ケストナーさんは、
これらの項目に対してどんな言葉で
処方してくれるのか、
一例を紹介しましょう。

ぼくがよく発症する
「怠け心が起こったら」のひとつを
見てみます。

(一部抜粋)
こんなに怠慢なんだ!
そのくせ、することがたくさんある。

まわりでは、みんなのポケットの中で
時計がカチカチ鳴っている。
時は逃げる。そして、
つかまえさせようとする。
時は、くつの底がぬけるくらい走る。
ひとは怠慢で、心のせんたくもしない。
時間を、まるでボンボンのようにお、
しゃぶってしまう。
そして、ゆっくり休むため、
こっそりうちに帰る。

怠慢もらくじゃない。
重いものを支えているようだ。
独りぼっちだ。
これは交際じゃない。
石割り人だってこの半分もつらくない。
人はうろうろしていて、
幸福の邪魔をする。
微笑していても、それに気が付かない。
無為だと、、財布がからになるだけでない。
これが、このことで
いちばんつらい点だ。

人は、よくよく注意深くしていないと
思いのほか、
自分の気持ちを把握できないものです。

あれ、なんでいま自分って
こういう気持ちなんだっけ?

元気なフリして、平気そうにしているけど、
言われてみたら、
けっこうしんどいんだった。

みたいなこともよくあります。

自分の気持ちを自分で把握すること、
これができると、
それだけで、気持ちはやわらぐものです。

ケストナーさんの文章を読むと
これをすれば、人生よくなる、
ということが書かれているわけでなく。
あー、そうそう、そうなんだよねえ、
ということが。

悩みには、それで十分なんだと思います。

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