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言葉をぱくっとプランクトン

ビルの窓に一文字ずつ、
大きな文字がはり出してある。
 
「マハ音楽教室」だ。
 
聞きなれない名前だな。
インドかなにかの民族音楽かな、
と思っていると、すぐ隣の
開いていた窓が閉まった。
 
あらわれたのは
「ヤマハ音楽教室」
 
あ、ヤマハか!…
というような経験が何回かある。
 
よく知っていて、見聞き覚えのある
言葉でも、最初の一文字目を
見失うと、急に意味が分からなくなる。
この感覚が気になっていた。
 

 
話は変わって、ふと、
妖怪とプランクトンの類似について
荒俣宏が話していたのを思い出した。
 
超ざっくりいうと、
透明でみえないが、いる。
という類似だったか。
 
言葉にも似たところがある、と
ぼくは思った。
 
単語は、意味がある。
 
「はなび(花火)」
というと、どことなく、
あの、夏の夜空のきれいなやつ。
と思い浮かべる。
 
外界に見える視覚としては
なにもないけれど、
脳内イメージには、そのおぼろげながらも
形が浮かび上がる。
 
要するに、脳内においては不透明になる。
 
しかし、
さっき話した体験のように、
最初の一文字だけ取ると、
とたんに、イメージはあやふやで
透明になる。
「はなび」なら、「なび」になる。
 
ナビゲーションの「ナビ」ともとれるが、
ひらがなだと覚えのない感じがする。
 

 
「んぎょう」
「んじゃ」
「んぱん」
「もだち」
「レビ」
「ラタン」
 
こんな変な言葉、
口にだしてみたこともないよ!
と思うかもしれない。
 
なんの意味にも形にもならない、
こういうのが、
いわば言葉のプランクトン。
 

 
もとどおり、最初の一文字をつけると
「にんぎょう」
「にんじゃ」
「あんぱん」
「ともだち」
「テレビ」
「グラタン」
 
と、ぱっとイメージが現れる。
 
ふだん使う言葉は、ほとんど無意識で、
単語を一かたまりのメロディのように
定着して覚えている。
 
なので、一文字抜いた、
プランクトン状態になったものは
知らない、という気がする。
 
でもその、知らない、と思っていたものが、
実はよく口にしている音だった。
 
ということが、なんだかおもしろい。
 

 
パックマンみたいな、言葉のプランクトンが
ぱくぱく、なにかを食べようとしている。
食べると進化する、プランクトン。
 
「なび、なび、なび、なび」
「は」をぱくっと飲み込むと、
どどーんぱぱん「はなび」に進化しました!
 
みたいなあやふやなアイデアを思った。

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