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資源はお金で測っている

歯を磨いている間、
水道をジャーっと
流しっぱなしにすることが
あるんだけど、

そうしていると、
高校の修学旅行の
思い出がふとよみがえる。

沖縄旅行。
おもしろかったのが、
ホテルの部屋の班の人選。

サッカー部の人気者と、
無口で、ものすごい個性の
(何考えているか分からない)
持ち主と、
その間に挟まれた自分の3人。

イケメンサッカー部員も、
歯磨きするときに、
水道を流しっぱなしにする。

すると、もう一方の
ひょろっとした無口な彼が、
洗面台にやってきて
蛇口をひねる。

「あ、なんで止めるんだよ」

「水、使っていないから
止めた」
と、のっぽなのに細い声。

「いやいや、
いま使ってるんだし、
出しっぱなしにしても
水道代はかかるわけじゃないし
いいじゃんか」
こう反論するけど、

「お金のこととかじゃなくて、
もったいない。」

結局、口をすすぐ時以外
水は止めることで合意したのだけど、
なぜか、このやり取りだけが、
修学旅行から10年以上も経った
今でもまざまざと思い出せる
体験となった。

これと似た経験としては、
マクドナルドの列に
並んでいる時に感じた事がある。

ここに並んでいる人全員が、
自分の好きな注文を、
全部たべられるんだよなあ。
今日だけじゃなくて、
明日もたぶん、明後日も。

お金を払えば、食べられる。

そんなことを思ったとき、
のっぽの彼の声が
頭をよぎる。

「お金のこととかじゃなくて、
もったいない。」

食べ物ももちろん
電気も、水道も、ガスも、
自分の実感としては、
お金に余裕があるか、
もったいないと思うか次第。

地球全体の資源の有限さについて
知ってはいても、
実感にまで落とし込むことが
できない。

夕暮れの渋谷を歩いていると、
ステーキ屋さんに女子の行列が。

彼女たちにとっては、
ちょっとしたお金を犠牲にした
たまのご褒美的なものだろう。

そんなときに、
屠殺の様子を克明に描いた
写真集を見せて、
彼女たちの食欲を削いでやりたい
という気持ちになる…

でも、その事実を知ったとしても、
人がお肉を頂くことに
変わりはないし、頂くなら、
できるだけおいしく食べたい。

かつて計画停電をして
日本中で節電を意識し始めたが
いつの間にか、
もとに戻っていたように、

仮にお肉の出荷制限を一時的に
かけても、気が付くと
もとに戻るんだろうな。

どうしても、
資源をお金で測っていることから、
逃れられない。

お金の価値が、なくなっちゃうような、
大変な事態にならないと、
本来のモノのありがたみは
分からなくなる気がする。

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