ことばのロボットいろはちゃん 更新2020/8/5

空気のイメージを顕著化計画

1、
アリが歩いているのを
まじまじと眺めいる。
顔をあげたかと思うと、
「アリってねえ、
はだかなんだね。」
って、大発見したかのように
大真面目にいう。

2、
けしごむをこすると出てくる
カスをみて
「たくさんうまれた、
ほら、けしごむのこども!」
それから、
「けしごむっておかあさん?」

こんなことを言うのが、
どんな人かと想像すると、
幼い子どもをイメージするかもしれない。

だけど、これはまどみちおという
おじいちゃんが書いた詩の断片を
僕が勝手に再編集したもの。

こういう詩って、
それが、どうしたの?
とか、それが何になるの?
って思うけど、

気持ちがくすぐられる。
ふふふって、たのしくなれる。

その効能こそすべてじゃん、
という気がする。

ところで…
ぼくは、なにかを作るとき、
どうしよう、と悩むことが多いタイプ。
上手くいった、と思うことより、
上手くいかない方が圧倒的に多い。

そういうときは、
次はこうしてみよう、と
思えると元気になるんだけど、
でもそれって、
まどさんのように、
気持ちがくすぐったくなるような
ものになっているかな、
と反芻すると、
そうでもないような気がして、
またどうしようかと、
立ち返ってしまう。

そんな反芻ループに
入った時は、、
空気のことを考えてみる。

「魚って水を飲んで、
息してるんだよね?
あれって、どういうこと?」

と昔から思っていた。

魚はえらから水を吸って
酸素を取り入れ、
水の中に二酸化炭素を
排出しているんだけど、

「え、水で?」
とおもう。
息って、なんにもないところで
するもんだよって思うんだけど。

でも、ぼくたちが
空気で呼吸するのも
じつは、水同様
空気に「潜っている」からなんです。

たとえば宇宙人がいたら、
大気圏に打ち寄せる空気の
波間の上で、
「深い空気の底で
空気を飲んで暮らしている
生き物がいる」と、
きっと思うだろうな。

おしいれに閉じこもっていても、
山腹で見晴らす遠くの入道雲の先にも
みっちりとすきまなく空気が
溜まっている。

声がひびくのも、
匂いがするのも、
空気で満たされ
つながっているから。

それでいて、空気はつねに動いている。
人間にとっての適温が、
空気には猛烈に熱いから
(空気が液体になるのはマイナス190℃)
気体として分子レベルで動いている。

もっと大きなかたまりでも、
気温の上昇や下降で、
ちょうど鳥や小魚の大群が
一糸乱れずシンクロした動きを
するように、
もわーっと立ち上がったり、
ふき下りたりする。

さらに、
月や太陽が、動いてみえるのと
同じように、
上空12キロにある対流圏の空気も、
地球の回転によって、
かなり早いスピードで流れている。
ジェット気流と言われているやつ。

空気がうごくって、壮大だ…と
おもうけど、
思い出してほしいのは、
扇風機をつけるだけでも
律儀に風が立つ。

なんて従順なやつ、とおもう。
どんなときも、なされるがまま。
究極のlet it beだなと。

空気は、人の関心事や、
悩みなんて無関係な場所で
いつでも働いている。

重要なのは、自分のなかにも
空気が満ちている、ということ。

従順でなすがままの空気と、
自分の体とが、
じつは同期してる、
という気分になってみると、
気持ちが穏やかになるんです。

ややこしいけど、
まどさんが、「あり」や「消しゴム」を
みる時のような気持ちで、
空気をみつめてみたいなと思う。

知識じゃなくて、
ことばが人のイメージを揺さぶる、
ということを、
まどさんの詩を読んでおもう。

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