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折れた紙との付き合い

本屋にいくと
絵本の棚をのぞいてしまう。
もうすっかり大人なのに、
子ども用に間取りされた絵本コーナーを
ふわふわ歩き回る。
 
乳母車を押すお母さんと赤ちゃん。
いまにも絵本をぶっ壊しそうな
わんぱくな子どもたち。
音読をするお姉ちゃん、
それをたどたどしく真似る妹。
ぴこぴこと音がなるオモチャ。
カラフルな装飾。
 
何となく居心地がそぐわなくて
そわそわしてしまうけれど、
頑張って「ふわふわ」感を漂わせて歩く。
 
そこで、大塚いちおが絵を描いた
「もののいちにち」という
シリーズの絵本を買った。
 
家に帰って、わくわくしながら
本を開くとおどろいた。
ページが折れていたのです。
 
ちょっとムッとして、
次のページを開くと、また折れしわだ。
さっき本屋で、本を楽器のように
叩いていた子たちが頭を過った。
 
熱心に読む103
あまりに折れていて
せっかくの美しい絵本が台無し。
怒り心頭で、またあたらしいのを
買いにいこうかと迷ったほど。
 
しかし、冷静になって
こう考えてみた。
「折りしわというデメリットこそ
紙という素材の逃れられない
性質なのではないか。」
 
よれ、おれ、しわ、
これを紙の好敵手と考えればいい。
デメリットをどうにか、
表現の効果として活かせないか。
 
むしろ活かさない事には、
ちゃんと紙と向き合えた事には
ならないのでは。
 
…という具合にものごとを
大袈裟に考えていたら、
絵本の折れしわも
なんだか親しみのあるもののように
思えてくるのでした。
 

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