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幸せに導く人

同じ席を共にしている人が
「疲れた」とか「ねむい」とか
「食欲ない」とか言うのを聞くと
一緒にいる自分まで、
どことなく、がっくりきてしまう。
 
する必要のない連帯責任を
負わされたように、
ふたりで持っていた荷物を
突然ひとりで持たなくては
ならなくなった、
というようながっくり感。
 
ぼくの周りで「そういう人」が
いる、ということじゃなくて、
ぼく自身が、引きずり込む側に
いることが多い。
 
恐ろしい事に、ぼくの場合、
口に出すのではなく、
体全体からそういうオーラが
漂っているのだという。
 
電車の自画像076
 
自分のように、人を沈んだ方へ
引きずってしまうこともあれば、
逆にこんな人もいる……、
 
電車に座っていると、
老紳士が数人やってきた。
さて、どこに座ろうか、というふうに
ドアの近くに留まっていた。
 
席を一つずらせば、
彼らがみんな座れるようだったので、
お尻をずいっとやって
席を移動すると、
やあやあ、と老紳士がにこやかに
近づいてきて、
「ありがとう」という。
 
無言で会釈だけすると、
隣に座った人が
ぼくの膝に手をあてて
念を込めるように2、3度
円を描いてから
「あなたにはいい事がある」
と言って、ポンと叩く。
 
小さい子にやるようなことだっけど、
不思議とうれしくなって、
顔がほころんでしまいました。
 

 
こういう幸福な気持ちにさせる人も
世の中にはいるもんなのですなあ、と
思ったのです。
 
この人のことを
たまに思い出しては、
自分も出来る限りの所では
出来るだけのことをしたい、と
思うのでした。
 
(この作文を読んで下さっている
あなた。
明日から2、3日のうちに
いいことがありますよ。)

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