味わってみたい感覚
予備校に通っている時、
デッサンの授業があった。
そこで分かったのは、
自分は、形を正確にとらえるのが
下手なんだ。ということ。
特に石膏像は、苦手だった。
周りの人たちがおそろしく上手なので
全員の絵をうまい順に並べられる
講評のときは、
毎回顔を真っ赤にしていた。
その頃から、「本気を出す」という
ことへの疑問が頭をもたげる。
下手なのが、嫌だったので、
よく遅くまで居残りしていた。
その結果、どうなったかというと、
全くうまくならなかった。。
友人の絵をみると、
魔法のように一瞬で「ぽく」なってる。
立体感が出て、迫力がある。
本気を出して頑張るということが
必ずしも、結果に結びつくわけでは
ないことを知るのであった。
*
「脳のなかの幽霊」(ラマチャンドラン著)
を読んでいると、脳の性質として、
「ないのに見えてしまうこと」
「あるのに見えないこと」があるらしい。
それは、病気や事故による
脳の欠損によって起こる特殊な
場合だけではなく、
そうでない通常の人にも起こる。
錯視とか、盲点とか。
下の画像は盲点の実験。
右目を閉じて、●を注視する。
顔を画面に近づけながら見ると、
横にある「+」が消える場所がある。
ふしぎなだなあと思う。
*
そこで、思うのは、
これを訓練して、「盲点をなくそう」と
努力するようなことを、
デッサンを訓練していた頃のぼくは、
やっていたんじゃないかと思う。
デッサンがうまい人って、
もともとが「モノが立体に見える」感覚に
鋭くて、捉えるのを心地よく
感じているんだろうな。
そういう感覚を味わってみたい。
*
あと高校生の時、
陸上部の長距離だったので、
体育の授業の1500m走は
唯一の活躍の場…。
授業はクラス合同なので、
短距離がめちゃくちゃ速くて、
イケメンな人気者と、一緒に走ることに。
ただ、いくら短距離が速くても、
いくらイケメンで人気者でも、
長距離は苦手だったらしい。
ぼくの方が速かったのだ。
そこで、なにが起こったかというと、
クラスのみんなから
「あいつは足が速い」と勘違いされ、
次の体育祭でクラス選抜の
200mリレーに抜擢されてしまう。
しかし、自分は短距離は大の苦手、
これも脳神経的?な肉体的な原因がある。
つまり精神力ではカバーできない。
短距離走だと、
体のどこに力を入れていいのか、
途端に分からなくなる。
…結果最下位にまで落ちてしまった。
陸上の記録保持者級の走りを
見ていると、
どういう感覚でいるんだろう、と
味わってみたくなる。
2019/07/01