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分子の目線

リチャード・ファイマンという
物理学者の本を最近読んでます。
 
物理学者の本といっても、
インタビューや公演の文章を
寄せ集めてまとめたもので、
ぼくのような知識の無い一般人が
読んでも十分面白がれる本。
 
彼の娘のジョーンのインタビューを
ちょっと引用。
「詩人が黙って夜空を見上げると、
真っ黒な中に小さな光の点が
無数に見えるでしょうね。
一方、科学者が黙って空を見上げると、
そこには巨大な太陽、銀河系、
そして磁場、乱流、熱さ冷たさ、
空間の中の分子、果てしない距離、
そして偉大な神秘が横たわっている。」
 
ややひいき目な言いまわしだけど、
科学者の視点は、興味の分だけ
裾野が広がるのだなあと思います。
 
2階建てから005
 
具体的な例えで面白いのが、
木片が燃える話。
 
木の主な成分は炭素です。
それはどこから来たのか、というと
空気中の二酸化炭素(や水)が
もとになっています。
 
ところで分子同士は結びつきが
しっかりしているから、そう簡単には
切り離すことができない。
でも植物は、二酸化炭素を、
炭素と酸素に分離して、
不要な酸素だけを、ぽいっと
逃がすことができる。
 
植物はどうしてそんなに
利口なのだろう。
と思うかもしれないけど、
その正体は太陽なのだといいます。
 
太陽の光が降ってきて、
炭素から酸素を突き放す。
 
…そして、炭素の塊となった木片の
実質をとって暖炉に放り込むと、
植物が作った空気中の酸素と、
木の中にある炭素とが、
またよりを戻して一緒になりたがる。
 
そこに熱を加えて活動を
始めさせれば、もと通り一緒になる間
盛んに運動をおこす。
その結果出てくる快い光と熱は、
実はずっと前に木に入った太陽の
光と熱なんだよ、という。
丸太を燃やすと、いうなれば
「貯蔵されていた太陽」が
出てくるのだそうな!
 
分子のレベルでものごとを観察すると
世界はもっと活き活きと
見えてくるみたいです。

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