こんちきしょう
聞いたことあるけど
読んだことない作家はたくさんいる。
マーク・トゥエインや
ジュール・ヴェルヌ、
スティーブンスン、
トールキン、リンドグレーン。
じつはこれ全部、岩波少年文庫から
出ている作家なんだけど、
ケストナーもその一人でした。
いくら有名だからって必ずしも
自分が面白がれるかどうかは分からない、
というものぐさから、
なかなか手が出なかったのですが、
ふとした拍子で
ケストナーの「ふたりのロッテ」を
読んでみたら面白くて、
一気に読み切ってしまった。
これまたふとした拍子に
同じ著者の「サーカスの小人」を
読んでみて、ああやっぱり面白い。
駅のホームで読みながら、
突然笑いがこみあげてくる。
困ってしまう。
困ってしまうくらい面白い。
*
「サーカスの小人」にサーカスの動物たちと
人間が入れ替わってしまう、
という妄想シーンがある。
そこでは、ライオンがむちをとり、
奇術師が火の輪くぐりをさせられる。
ゆっくりと檻から出てきた奇術師に
ライオンがむちをならすと、彼は
「こんちきしょう」とどなる。
本来ならライオンの「ガオー」なのだけど…
そうか、あのガオーを翻訳すると
「こんちきしょう」と言ってるのか!
ここで笑いを必死に抑える。
本で顔をおおう。
しばらくして、本を離し
続きを読む。
「ライオンはもう一度むちをならす。
ぼく(奇術師)は台によじのぼり、
こんちきしょう、とくりかえす。」
(引用)
あれは、誰に向けた怒りなのか。
「こんちきしょう」という間の抜けた
台詞はもう最高だし、
酔っぱらいの滑稽な様子に思えて、
おかしくてたまらない。
早く続きを読もう。
2013/05/28