おばけはいました
インドの神経科学者、
ラマチャンドランという人が
書いた「脳のなかの幽霊」
(角川文庫)をご存知だろうか。
といって、自分も
こないだ手に入れた
ばかりなんだけど、
本って読み始めが一番
話題にしたくなる。
*
手や足を失った方が、
幻肢(げんし)っていう症状を
引き起こすことがあるらしい。
失ったはずの手足が、痛む。
という症状。
突然のことで、
脳が手や足を失ったことに、
気が付けていないのだという。
手足は実在しなくても、
痛みを感じた本人にしてみたら、
「ある」に等しい。
だから、幻の肢というんだって。
その症状のリハビリ方法が
驚きで、
「え?こんなことで治っちゃうの?」
という内容なんだけど、
それを知りたい人は、ぜひ
本を読んでみてください。
*
他の人からみたら
「無い」はずなのに、
自分ではそう感じている。
医学的な話なんだけど、
どこかオカルト要素と結びついている
気もしていて、面白い。
たとえば、「呪い」とか。
実際は効能のない錠剤を
「これは特効薬」として与えると、
なぜか効き目を発揮する
プラシーボ効果があるなら、
その逆もあるだろうと。
呪いまでとはいかなくても、
今日の運勢が「12位」だと言われると、
12位的な出来事をどこかで
待ち望んで一日を過ごしてしまう。
脳内の幽霊は、言葉によっても
生まれるんじゃないかな、
と思う。
*
ぼくが時々やる遊びは、
夜寝る前に、
部屋の明かりを消して、
目を閉じる。
たとえば、その日、
初めて通る道を散歩したとする。
そしたら、その景色を
浮かべる。
もやもやと印象に残った
風景が動き始める。
時おり、波のようなゆらめきから、
明るさを感じることがある。
目を閉じているはずなのに、
目を開けてみているような
感覚にとらわれる。
これが何とも言えない快感で、
とても短い時間なんだけど、
たのしい。
目を閉じて、横になっているのに
散歩をしているみたいな
気分になれる。
*
脳内で起こる現象って
不思議だなあ。
ないものも、あると感じてしまう。
あるいは、あると感じていたものは、
実はなかった、
なんてこともあるかもしれない。
ほら、こいういう風に、
オカルト的な思考になりがちだけど、
これをどういう風に科学的に
捉えているのか、
とても興味がある。
さあ、読んでみようっと。
2019/06/25