おお、足裏よ。
世の中にはいろんな人がいる。
出来のいいのやつもいれば、
そうでないやつも…
いいや、
そんな言い方はよろしくない。
出来の悪い、なんていうと
差別だということになりかねない。
われわれは平等であって、
「違い」とは、差別ではなく
個性として受け入れるべきものだ。
なんていうことを思う。
しかし、なるべく差別なしに、
と思っている自分にも
とっても身近に、はっきりと差別を
しているものがあった。
足裏だ。
*
風呂に入っているとき、
足の裏を洗った後のボディタオルで
顔を洗うとき、
ためらいがある。
これは、つまり、
顔のほうが偉いんじゃないのか。
埃だらけのところをはだしで
歩くことはできるが、
手でさわりたいとは思えない。
これはつまり、
手の方が高貴だと思っている
証拠ではないか。
得体の知れないものを確かめるとき、
まず、足でちょいと触ってみる。
手の爪は切るけど、足の爪は
見ない振りをする。
注意が及ばない為に
小指もぶつけたりする。
足の小指など空気のようなものだ
という認識があるのだろう。
縁の下の力持ちの割に
大切にされていない。
大切にされていないどころか
汚いものには、あまり
関わりたくないとさえ
思っている自分に、
ふと気がついた。
*
おお、足裏よ!
ぼくはずっとお前を
無視していたよ。
そんなつもりは無かった、なんて
言い訳に聞こえるかもしれないね。
この湿気と暑さの中、
靴とくつ下で一日蒸されて、
つらかったね。
今日は丁寧に洗ってあげよう。
それから、よく冷えた布団のなかで
はだしのお前をすべすべして
あげるからね。
2017/08/05