「おまじない」にしたい歌詞
作文を書く、とか、
俳句を詠むとか、
日記を書くとか、
だれでも、人生で一度は
やったことがあると思う。
そこでなにを書いたか、
覚えているだろうか…?
たぶん、ほとんどは
自分についてだったんじゃないか。
自分のしたこと、思ったこと
感じたこと、
そういう事を書くのが作文だと
小学校の頃から思ってきた。
*
でも、文章を書くって
全部がそういうことか、というと
全然そんなことなくて、
自己表現とは、
またちょっと違った役目で
作られた文章がある。
種類はいろいろあるけど、
最近気になっているのが
歌の歌詞。
特に自分が小さい頃に聞いていて
好きだったアニメの主題歌に
「自己表現」ではない、
とある効果が顕著に
表れている特徴がある。
それは、なにかというと、
「おまじない」的な言葉の
選び方をしているところ。
「いまわたしは、こんな気分です」
というんじゃなくて、
こんな言葉を口にしたら、
気分が良くなりそう。
いいことを迎えられそう…
口にするだけで…、
耳にするだけで…、
「おまじない」してもらった
ような感じがある。
*
具体例を挙げると…
(※作)は歌詞を書いた人)
わかりやすいところだと、
「アンパンマンマーチ」
作)やなせたかし
「♪そうだ うれしいんだ
いきる よろこび
たとえ むねの きずが
いたんでも…」
「そうだ うれしいんだ」の
ところで、
強制的に感情メーターを
”うれしい”に
リセットさせられちゃう。
生きているってだけで、
うれしいと思わないで
どうするんだ!
と喝をくらったかんじ。
そんなこと言われたら、
びっくりする。うれしくて。
*
他に有名どころでは、
ポンキッキでながれてた
「さあ冒険だ」
作)森高千里
「♪昨日より 今日が好き
新しいから
ワクワクする この気持ち
なんだろう さあ 冒険だ」
単純なのに、
妙に説得力があるのは
なんなんだろう。
「おもちゃを買って!
これが好きなの!」という子に
理由を尋ねたら、答えが、
「だって、新しいから」
というワンシーンを妄想すると
馬鹿らしくて
わらっちゃいそう。
和田アキ子の歌もよくて
そんな単純でバカな発想が
時々は必要なんだよ、と
上品なお誘いに聞こえる。
*
これを知ってる人は
限られるかな。
『キンギョ注意報』の
「わぴこ元気予報!」
作)岸田るみ子
「♪ちょうちょむすびの
高気圧が 君のハートに接近中
笑顔前線つかまえて
駆けておいで
ねんがら年中ハレバレ
楽しまなくちゃウソでしょ
なんでもいーからガンバレ
やってみなくちゃわからナイ
いつでもハナマル元気じるし」
まず、「わぴこ」という名前が
かわいすぎるのと、
脳内の快楽メーターが
振り切ってしまって
オーバーヒート寸前な感じが
たまらない。
「ねんがら年中ハレバレ…」
から以降の5行は、
ほんとにおまじないとして
となえても差し支えない。
*
まだまだあるけど、
あとひとつくらいにしておこう。
『夢のクレヨン王国』
「ン・パカマーチ」
作)森林檎
「♪Okey-dokey てとて
Okey-dokey うって
もんだいは どこか あててみよう
Bing Bing あしを
Bing Bing ならし
ちきゅうのこころを
つかまえよう Hey!
ン・パカ ン・パカ
なきむしけむし
みんな いこう
いっしょに いこう
…
ン・パカパ ン・パカパ
クレヨンマーチ」
ちなみに、
Okey-dokeyは、
「問題ないよ」という意味で、
かつ、
たとえば…飲み屋でホッケを
頼んだときに、調子に乗った店員が
「オッケー、ほっけー」
って言っちゃうような、
フランクなニュアンスも
持っている。
楽観的になって、
いまあなたの抱えている問題は
解決可能なんだよ、
と諭された気持ちになる。
気分が軽くなって、
これは、いけるぞ!と
素直に前向きになれる。
これは歌を聞いてもらえると
分かるんだけど、
声優さんの歌い方が
本当にすごい。
音程がばっちりあってるのに
わざとリズムをすこし外して
天真爛漫さを表現してる。。
最後の
ン・パカパ ン・パカパを
聞いていると、こちらもつい
パッパラパーな頭になる。
これが萌えなのですね。
やられた。。
2018/09/29