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奥ゆかしき折句

ことば遊びの種類に、
折句(おりく)というものがあります。
 
英語でいうところのアクロスティック。
 
もっと分かり易く言うと
小学校の頃にやった
「あいうえお作文」のことです。
 
「に」こにこ
「し」ながら
「む」りをしないで
「ら」くしたい
 
というふうに、こんな
怠けものが書いたような作文に
自分の名前をあてはめてみる。
みたいなものが折句です。
 
肖像画068
 
古くは平安時代から、和歌に折句が
取り入れられていたそうです。
 
たとえばこんなもの。
 
「か」ら衣
「き」つつ馴れにし
「つ」ましあれば はる
「ば」る来ぬる
「た」びをしぞ思ふ
 
意味はよく分からないとしても、
こんなふうに、和歌に
「かきつばた」という言葉が
込められているのが分かります。
 

 
こないだのブックフェアで販売していた
「補集合の本」や
「光のメッセージカード」も
この折句という技法を使って
作ったものです。
 
自分で作っている時には、
これはあたらしい表現だ、と
思ったりもしたのですが、
実は平安時代から脈々と続く、
伝統的な日本語の技法だったのでした。
 

 
千年以上も昔は、
直に気持ちを書いて伝えることは
あまり奥ゆかしくない、と
思われていたのかもしれません。
 
和歌に本音の気持ちを
そっと隠して、暗号のように
意中の人とやりとりしたそうです。
 
折句にしたためたメッセージが
折句になって返ってくる。
 
そういう繊細なところが、
日本的なのだというと、
なんだか分かるような気が
しないでもない。
 
twitterやfacebookにも
こういう奥ゆかしさがあったら
どうかなあ。いやないかなあ。
 

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