健康とは体に趣を感じること
自転車で15分くらいのところに
和田掘公園があって、
そこに流れる善福寺川沿いのベンチに
座って本を読むことがあります。
最近は、蚊が多くなってきたので、
帰ってくるといたるところが
かゆくなるのが困ったところ。
もうひとつ困ったことは、
夕方になると日陰にいても、
すぐに日なたになってしまうこと。
また場所移動しなきゃ、と
点々としてなかなか集中できないことも。
そういうときに、
あ、そうか、地球って回ってるんだった。
と想像して、その壮大さに浸ってみたり。
それから、
太陽からの光を手にあててみて
いまこの手のひらの上にある光は
8分30秒前に太陽の表面にあったもの
なんだなと。
光りたてほやほやの新鮮な太陽の光。
日本では、夏はほとんど真上の位置に
太陽がある。
だから、通ってくるオゾン層の距離も
短くなって、日差しも強い。
*
そうか、昼夜、季節は、
天体の運行に同期しているんだった。
地球は、太陽との関係で、
刻々とリズムをとって回っていて、
多くの人が、朝に目ざめて
夜には眠くなるように、
また旬の野菜があるように、
動物も衣替えをするように、
生物すべてには、太陽系のリズムを
刻む体内時計(サーカディアンリズム)
の中で生きているようです。
これが崩れると、体にもこころ
(体温、血圧、睡眠、ホルモン)にも
影響があるんだって。
良い気分で、健康でいるためには、
サーカディアンリズムを24時間周期に
整えておく必要があるということです。
こう聞くと、ある見方では自由がきかない
規則を破った罪には、不健康という罰を
あたえるというような、
体がルールに縛られている気がしてくる。
そもそも、深海にいる魚が
地上へでると破裂してしまうように、
ぼくたち空気の下で生きるものも、
空気の外にでると死んでしまう。
だんだん、地球という時計と水槽に
閉じ込められている気がしてくる。
*
季節がくるのも、朝となり夜がくることも
すべてが自分ののぞむようにはいかない。
ずっと春がいいとか。
早く朝になってくれ、とか。
基本的に自然は、
人の思うままにはならないんです。
*
一方で昨日紹介した
生命科学者の柳澤桂子さんの
「天体の動きと生物」というエッセイでは
「生物がいかに宇宙のリズムに合わせて、
そのふところの中で生きているか
ということがうかがえるであろう」。
と締めくくっています。
心から好きな本の一つに
清少納言の「枕草子」があるのですが、
(ぼくが読んだのは現代語訳版)
思い返せば、
「春は、あけぼの。」
から始まり、結局のところ、
「時節は、正月、三月、四月、五月、
七、八、九月、十一、二月、結局全部、
その時々に応じて、一年中、みな趣がある。」
という。
閉じ込められているという発想じゃなくて、
そのふところに抱かれていること自体が
一番の趣じゃないの、と。
この本のなにがすごいって、
少なくとも1000年前の人から
ずーっと受け継がれてきたってこと。
自然の四季をめでるように、
自分の体の中のリズムにも
趣を感じられるようになること、
これが健康っていうことなのかもしれないな。
2021/06/09