ことばのロボットいろはちゃん 更新2020/8/5

体の中で星を育てる

朝は、腿上げを108回する。全力で。
すると目が冴えて、体もじんじんと
血がめぐっていくような気がする。
時間にして2分足らず。

午後は、15時頃になると
散歩へ出る。大体図書館へいく。
図書館は、近いと歩いて10分。
遠いところだと自転車で20分。
その日の気分か、読みたい本の蔵書されている
場所までいく。

夜は、お風呂が沸くまでの時間で、
有酸素の筋トレを10分だけする。
腕の筋肉を使うと、「うぉっ」って思う。
普段使わないので、脳がびっくりして
くらくらする。

寝る前に、ヨガのストレッチ。
15分くらい。
これも、腰をひねりながら、
首や、上半身を左右に倒すという
説明のしがたいポーズをとると
新鮮で、やはりくらくらする。
普段使っていない脳の隅っこにも
血が巡って活性化されているような…

これが、一日の体を動かす時間のすべて。
せいぜい日に50分くらい。
その他はずっと座っているから、
運動不足この上ない。

体のことを考える時間も減るし、
その分、思惑や意識に容量をとられ、
(過去にとらわれがちな自分にとって)
不本意な気持ちになることが
少なくない。

話は変わって、大学生の頃、
よしもとばななの「体は全部知っている」という
短編集を読んだことがあって、
内容は忘れたんだけど、
とても共感した記憶だけが
残っていて、
もう一度この本を読んでみたいなと
思い出した。

なんでかっていうと
内臓とこころ」三木成夫著(河出文庫)を
読んでいて、
ふと思い出したんです。

「自分のことは、
自分が良く知っている」とか、

「自分のことだからこそ
自分のことは分からない」とか、

いろいろ言われたりするけど、
その時の「自分」って意識のこと。

でも「内臓とこころ」と、
「体は全部知っている」というタイトルが
示しているように、
自分の「こころ」や「全部」をしっているのは、
実は内臓や、体の方であると。

意識じゃなくて。

さらに話は飛びます。

植物は、昼と夜のリズムで、
それから季節の巡りで花を咲かせたり、
閉じたり、散ったり、実やタネを落としたり
太陽と地球の関係に従って生きてる。

植物って太陽系(宇宙)の一つとして
生命を移がせているということに
なるんですよね。
(言い方はおおげさに思えても、よく
考えれば全然大げさじゃないよね)

もはや地球の中の植物じゃなくて、
宇宙レベルでの影響と共に
生きているってことに。

で、
「内臓とこころ」という本では、
なんと内臓も植物と同じなんだって。

内臓は人の考えとか、思想とか、
そういうこととは全く関係なく、
一定のリズムで命を育んでいる。

一定のっていうのは、
朝が来て、夜が来て、
季節が巡って…。
朝が弱いとか、昼になると腹が減るとか
夜は眠くなるとか、
春はあけぼのだとか、食欲の秋とか…
つまりこれまた、植物と同様、
宇宙の中のシステムに同期している
というんです。

内臓は小宇宙。
だからもっと、自然に体をひらいて
いくのが調和を生むのだと思うけど
冬はあたたかく、夏はすずしく、
「年中温室栽培の果物を食べたり、
花を飾ったり…つまり、人間という
動物は、自分に都合のいい生活を
勝手に造り上げる。」

「人間が自然の移り変わりに対して
しだいに盲目になってきた。」

だから、いま人間は、自然に対して
「自閉症」みたいになっている、
なんていう。

なるほど、と思う一方で、
でも、手遅れだとも思う。

夏に暑くてたまらないのは嫌だし、
冬に食べるものがなくて、
飢えるのも耐え難い。
…そこで、ぼくたちは自然から距離をとって
都合のよい暮らしに身を置く。

「自閉症」的ということが
まさにぴったりなんだけど、
目隠しをして自分の意識だけを
VRで見ているような感覚。

「内臓とこころ」では、
こんなことも書いている。

たとえば
「空腹が「縁」となって、それこそ
百八煩悩が、夏雲のように
湧き上がってくるという。
まったくもってどうしようもないことですね。」

つまり人生の不運や、絶望と
感じていることは、
結局のところ、内臓のちょっとした
不快感が引き金になっているという
ことらしいんです。

「「生老病死」「愛別離」「怨憎会」
「求不得」…
こういうったいやなことが、
“お腹がすいた”というそれだけの
引き金でもって私どもの頭のなかに
ムクムクと湧き起こってくるというのです。」

VRを外した外側にある「内臓」にこそ
「こころ」のからくりがあったのだと。

内臓は、植物同様、
人間の意識じゃなくて、
太陽と地球(つまり小宇宙)と
ダイレクトに影響をうけて暮らしている。

まるで井上直久の
星をかった日」(架空社)みたいだな。
手のひらサイズの星をかう。
失敗を繰り返しながら、
丁寧にお世話をして、星を育てていく。

内臓も、星を育てるように
お世話をしなくちゃと思う。

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