みんな10万8000キロ
スペースシャトルは、
約2万8000キロの速度で
宇宙を漂っているらしいです。
その上、ぐるぐる回転していて、
いかにも酔いそうな気がします。
そんなところにずっと暮らしていたら、
体調の変化が著しいだろうな、
と想像してみたりするのですが、
地球にいる自分たちも、
10万8000キロの速度で太陽の周囲を
移動していて、
そのうえ1700キロでぐるぐる回転
しているそうなのです。
子どものころはよく、
ふとんの上でじっとしながら、
止まっているって、なんなんだ?
と思っていたことがありました。
*
真夜中に誰もいない草原に行って、
「ここには自分しかいない」
「ひとりだけの世界だ」などと
存分にひとりぼっちをあじわって
みたところで、
地球上にいる生き物すべて、
ひとつのこらず、
自分とまったく同じスピードで、
ぐるぐる回り同期している、
という事実は変わらないんです。
どんなに自分だけ!
と思ったところで…
ものすごく巨大なものに、
すべてのものといっしょに
とりこまれて暮らしていることに
かわりがない、という。
*
受けているのは回転だけじゃなくて、
太陽と、月の引力もあるんだそうです。
たとえば、太陽と月と地球が一直線に
ならんだとき、
それぞれの引力がかけあわさって
地球をひっぱる力が
最大になるのだそうです。
それが顕著に影響を受けるのは、
海面。
一直線になったとき、つまり、
新月か満月のときに「大潮」、
つまり、一番満潮の水位が高くなる
タイミングなんですって。
それなら、少なからず
人にも影響はありそうですよね。
なんとなくですけど、
人がゴムみたいに、ぎゅっと上に
引っ張られて、
体の中の圧が下がるイメージ。
本当かどうかはたしかではないですが、
満月のときは、
栄養や水分を取り入れる力が
増えるんだそうです。
*
いまは夜でも灯りがあるので、
月明りっていうのを
なかなか体感できないですけど、
かつて、
月の明かりを頼りにしていた頃の
リズムが、いまの人の中にも
あるらしいと。
(遺伝子的なものなのかな)
満月のあたりは明るいので、
夜遅くまで起きていて、
睡眠時間も短くなる。
新月のあたりはその逆。
*
これだけ、宇宙的なご近所づきあいが
否応ない地球で暮らしているわけなので、
やっぱりそれなりに自分自身も
影響を受けているんだろうな。
個々が大事、みたいな風潮で
「一人ひとりの責任」とか
「けっきょく自分の勝手でしょ」って
個人の主張が大切とされるのが
当たり前になってくると…
こうした巨大な影響のことを
ないがしろにしてしまいそうだなと思う。
地球や太陽や月からしてみたら、
きみがぼくでも、ぼくがきみでも、
どっちでもいいんだけど、
という感じなのかもな。
2021/06/30