行間を読むとは
行間を読む、とよく言うけれど
「行間」ってなんだ。
分かってるような気でいるけど
正直なところ、どういうことなのか
よく分からない。
甲田直美著「文章を理解するとは」
という本にその手がかりがありました。
これは「文章を読むこと」の以前にある
「文章を認知している」という仕組みを、
ていねいに追いかけた本です。
この本でまず言われているのは、
個々の単語が理解できても、
文章全体の理解には、必ずしも
繋がらないということです。
たとえば、
「火がかなり熱かったから、
家は水になってしまった。」
という文。
個々の単語としては理解できるものの、
全体としては理解し難い。
この文に整合性を持たせるには、
エスキモーの人々が暮らしている
「イグルー」という氷の家を
想像しなければならない。
氷で作った家であるから、
火によって家は水となってしまう。
こう捉えれば単語同士の因果関係が
見えてくる。
*
一見関わりのなさそうな事柄を
連結させるために「意味の補足」が
必要となってきます。
「イグルー」のような極端な例だと
クイズみたいになってしまいますが、
もうちょっと身近な例をあげます。
・昨夜A商店に泥棒が入った。
・金庫は開いていた。
・売上の一部が足りなかった。
・裏口の戸には鍵がかかっていなかった。
・太郎は自分の不注意を後悔した。
以上の文からは次のことが読み取れる。
1、泥棒が売上金をぬすんだ
2、売上金は金庫からぬすまれた
3、鍵は太郎がかけ忘れた
しかし上記のことは、どれも
文中には明記されていません。
つまり、全体を一貫性のある内容に
するために文間の関係を補って
理解するクセが、脳にはある。
文章の整合性を構築するために
「前」と「後」との関係を連結し
補足的に思考が働く。
これが行間を読むことに
繋がるのではないか、と思い至った。
2012/12/19