worksは8/24に更新しました.

行間を読むとは

行間を読む、とよく言うけれど
「行間」ってなんだ。
分かってるような気でいるけど
正直なところ、どういうことなのか
よく分からない。
 
甲田直美著「文章を理解するとは」
という本にその手がかりがありました。
 
これは「文章を読むこと」の以前にある
「文章を認知している」という仕組みを、
ていねいに追いかけた本です。
 

 
この本でまず言われているのは、
個々の単語が理解できても、
文章全体の理解には、必ずしも
繋がらないということです。
 
たとえば、
「火がかなり熱かったから、
家は水になってしまった。」
という文。
 
個々の単語としては理解できるものの、
全体としては理解し難い。
 
この文に整合性を持たせるには、
エスキモーの人々が暮らしている
「イグルー」という氷の家を
想像しなければならない。
 
氷で作った家であるから、
火によって家は水となってしまう。
こう捉えれば単語同士の因果関係が
見えてくる。
 

 
一見関わりのなさそうな事柄を
連結させるために「意味の補足」が
必要となってきます。
 
「イグルー」のような極端な例だと
クイズみたいになってしまいますが、
もうちょっと身近な例をあげます。
 
・昨夜A商店に泥棒が入った。
・金庫は開いていた。
・売上の一部が足りなかった。
・裏口の戸には鍵がかかっていなかった。
・太郎は自分の不注意を後悔した。
 
以上の文からは次のことが読み取れる。
1、泥棒が売上金をぬすんだ
2、売上金は金庫からぬすまれた
3、鍵は太郎がかけ忘れた
 
しかし上記のことは、どれも
文中には明記されていません。
 
つまり、全体を一貫性のある内容に
するために文間の関係を補って
理解するクセが、脳にはある。
 
文章の整合性を構築するために
「前」と「後」との関係を連結し
補足的に思考が働く。
 
これが行間を読むことに
繋がるのではないか、と思い至った。
 

« »

サイト管理