気がつく人
よく、占いのおばさんって
お客さんがイスに座った途端に
「ほお、あんた、悩みがあるね」
というでしょう。
「なんにも言わんでいい、
顔にそう出でおるわい」
で、なんだか知らないけど
言われてみると、
そうそう、そうなんですよ。
という気持ちになって、
この占い師は信頼できそうだ、
ってなってくる。
これって、占いに行っている時点で
悩みがあるのは当然だから、
ほぼ100%誰にも当てはまること。
こういう話を聞くと、
占い師って結局詐欺なんだよな、という
印象を持ってしまうかもしれないけど、
逆にぼくはすごいな、と思えてしまう。
魔術や科学では説明できない
未知の感性を操って、心を読み取る、
のではなく、
探偵の観察みたいに、
相手の仕草や身のこなし、
年齢、性別等々からどういう悩みか、
どんな問題を抱えてそうか、
推理するってこと。
そういう技術のようなものに思える。
曲の歌詞にも当てはまるよなーと思う。
ホフディランという2人組の
「スマイル」という曲があるんだけど、
こんな歌詞。
「いつでもスマイルしようね
とんでもないことが起きてもさぁ
可愛くスマイルしててね
なんでもない顔して出かけりゃいいのさ
ねえ笑ってくれよキミは悪くないよ
…」
ここでのポイントはふたつあります。
「とんでもないことが起きてもさぁ」
と
「キミは悪くないよ」
のフレーズ。
「とんでもないこと」って、過去に
経験したことのない人は皆無じゃないか。
だれも大体、とんでもないことを
しょっているだろうから、なんだか
そうそう、そうだね、と思える。
「キミは悪くないよ」は、さらに
大勢の人をうなづかせる力がある。
ポップソングを聞きたくなる時の
95%くらいの人は、
「じぶんが悪いんだ」と感じてる時だから
とつぜん、歌詞が自分に語りかけてきた、
という胸のときめきを感じてしまう。
大勢の人が、同じように
感じていることがあるのだと思う。
そこにちゃんと気がつく人って
偉人だなと思います。
2013/06/29