worksは8/24に更新しました.

ホッとするタイプ

コップを洗って拭くまえに
逆さにして机に置いておく。
 
これでは、いくら下に布を
敷いていても、水滴は乾かない。
 

 
金属のざるに、使い終わった
缶詰の缶を、これまた
濡れたまま置いておく。
 
しばらくすると、
ざるがさび付いてくる。
 

 
ふだん、全然見えないし、
そんなものないと思っているのに、
一晩寝て起きると、床には
信じられないくらいの埃が
溜まっている。
 

 
レンジでラップをかけて
熱々に熱したものを、
外気にさらすと
とたんにラップが真空パックみたいに
ぺこーとへこむ。
 
あるいは料理中、
鍋のふたをしたまま
煮込んでいて、
火を落としてから、しばらく冷ますと
ふたがあかなくなる!
とか。
 

 
こういう現象の要因って、
人の目に見えていないところにある。
 
もし、水滴の動きが目に見えていたら、
コップ濡れたままを直に机にはおかない。
上を向けるか、下に隙間を作るか。
でないと、水の出口がふさがれる。
閉じ込められてしまう。
 
さびつくのも、
その化学変化の様子を、
もっと激しく音がなるとか、
缶が痛みとして訴えるのであれば、
濡れた金属を、金属の入れ物に
入れたりなんかしないだろう。
 
ほこりも、ほこりになる前の
ほわほわが目に見えるくらい
デカければ、
ちゃんと空気を換気せねばと
思うかもしれない。
 
空気がつぶつぶとして見えていたら、
開かなくなった鍋のふたのなかで、
小さくなった空気が押しつぶされている
様子がみえるだろう。
 
けれど、再び火をつければ、
小さい空気はたちどころにふくらんで
鍋のふたを跳ね返すのが、
見えるかもしれない。
 

 
モノが腐るのもそうだし、
人の細胞が入れ替わっている
様子もそうだし、
どうも、人の目には
重要なことが見えていない場合が
よくある。
 
洗ったコップを半分濡れたまま
布の上に逆さに置くような人は、
きっと、自分のことも、
何年も前からずっと変わらない
自分なんだ、
と思っているに違いない。
 
こんなに、変化する現象が
起きているなかで、人だけが
変わらない、なんて異常事態だ。
 
人も、常に変わっている。
体も、気分も。
 
そう思って、焦る人と、
ホッとする人がいるかもしれない。
 
ぼくはホッとするタイプ。
 

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