worksは8/24に更新しました.

おいしく食べる論

自分ではそんなつもりはないのだけど、
「食べるのが遅い」と方々で言われます。
 
友人とごはんを食べにいくと
最後まで食べているのが自分。
「なんでそんなに遅いの?」と
まじまじとした顔で理由を尋ねられる。
 
なんで、と言われて冷や汗をかくことが
多いのでここらでひとつ分析をしよう。
 
…結論から言えば、食べるのが遅いのは、
おいしく食べようとする為だと考える。
 
食事の行程で、最もおいしい部分とは
「食べ物をほおばっているとき」
というのが基本的な考え方。
 
早く食べるということは、
飲み込むのも早いということで、
味の滞在時間が短くなってしまう。
 
それに一つの味のなかに、次々と
放り込むことで味が重なってしまう。
 
このように、おいしく食べよう、
という悠長な考えがぼくの頭の中に
住んでいるのです。
 

 
ある日のこと、ものは試しで
早食いに挑戦してみようと思い立った。
 
周りの友人にはその意を伝えずに
驚かしてやろうと企んだのです。
 
まずはおかずを口に詰め込む、
さつま揚げ、焼き魚、おくらの漬け物
そしてごはん、ごはん、ごはん。
 
飲み込むまでの処理能力が遅いので、
頬がリスのようにふくらんでしまう。
 
無理矢理のみこんで、さらに詰め込む。
唐揚げ、なます、甘く煮た佃煮、
味もよくわからない。
頭の中の優雅な奴らが両手を振って
「やめろ、もったいない、やめろお」と
叫ぶ様が目に浮かぶようでありました。
 
しかし、実権は我がものである、と
手を、口を、喉を、フルスピードで
稼働させる。
だんな!これじゃあエンジンが燃えちまう、
というイメージを払拭しながら、
頬張り、のみこむ。
 
食べ終わってみると、なんと、
まだ食べている友人が二人ほど。
 
やったぞ!勝ったんだ。
と嬉々としていたら、
「そんなに焦って食べる必要ないのに」
「ゆっくり食えばいいんだよ」
「そうだ、そうだ」
とみんなが口々に言うではないか。
 
もう急いでなんて食べてやらんぞ。

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