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2匹のライオン

昔、近所に不思議な空き地がありました。
 
背の高い植木で囲んであるうえに
雑草が繁っているので、
外から敷地の中がよく見えない。
 
けれど、植木のすき間をのぞくと
なにもないところにライオンの石像が
ぽつんと立っているのがみえる。
 
あれはなんだったのだろう。
いまでも分からない。
 
ずいぶん昔、
保育園のころの行き帰りに
車の中からその空き地を見るのが
日々の習慣になっていました。
 
私立小学生090
 
車なので通りすぎるのは一瞬。
その一瞬のうちに、
ある日はライオンが2匹。
ある日はどうみても1匹しかいない
ように見える。
 
おかしい、と思って、
毎日眺めているのだけど、
やっぱり、数匹見えるときと、
1匹しかいないときがある。
 
もしかして、と想像する。
もしかして、今日は餌を狩りに
出かけていて、1匹が留守番を
しているんじゃないか。
 
もしかして、相方が病気で
眠っていて、しかたがないから
今日は1匹で見張り番を
しているのではないか。
 
もしかして、…。
といろいろと妄想を膨らませたのを
覚えています。
 
あれは不思議だったなあ。
数年後、好奇心からその空き地に
乗り込んでみると、
果たしてライオンは5匹もいた。
 
車からみる角度と植木の位置との
兼ね合いから、1匹や2匹に見えて
いたのでありました。
 
現在はその空き地はライオンもろとも
均され、整備されて電波塔が立っています。
 

 
こういうのを思い出して、
うーむ、こういうのを作品に
できないだろうか、という
さもしい考えが浮かんでしまう。
 
早く次のものを考えないと、と
思って焦っていると、
段々血の気が引いていって、
血の気が引きながらいろんな昔話の
思い出を思い出してしまうのでした。
 

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