風潮が人を変える面白い話
100mで9秒台の歴史をみると、
おもしろいんです。
最初に10秒の壁を破ったのは、
1968年10月14日。
アメリカのジム・ハインズ。
それまで、10秒を破るのは
人類では達成困難であると
考えられていたらしいです。
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ジム・ハインズの記録もいわば特別。
打ち出した場所はメキシコシティ。
標高が富士山でいうところの5合目。
気圧が低いため、
空気抵抗が少なく
好記録が出しやすいとされ、
「高地記録」として残されている。
つまり「特別な条件下だったから」
というふうに
記録されているみたいです。
高地だからこそ、であって、
平地だったら無理だろうなと。
実際それ以降、次の9秒台が出るまで
8年の歳月がかかる。
それもまた「高地記録」だったようです。
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平地で記録が打ち出されたのは、
1983年5月14日。
9秒97を記録したカール・ルイス。
これは、世界中の人に衝撃を
与えたらしいんです。
今度は「高地」という
特別な条件ではなく達成された記録。
今まで不可能とさえ思われてきた
9秒台に光がさした、と。
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面白いのは、ここからです。
次に9秒台の記録が出たのは、
なんと約2か月後。
カルヴィン・スミスが
1983年7月3日に出した9秒93。
ここからラッシュのように
80年代だけでも6人も記録を
突破しているんです。
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トレーニング法とか、
用具などの技術の向上が
もちろんあると思うのですが、
なにより、
「9秒台って現実的じゃん」
という人の思いが要因じゃないか、
という説もあるようなんです。
これまで、10秒の壁を破るのは、
高地のような特別な条件でも
なければ、無理だと
刷り込まれてきた。
だから、なかなか達成する人が
いなかったと。
だけど、
一度突破され、
行けるじゃん!と思ったとたんに、
ドミノ倒しのように、
次々と9秒台が記録される。
夢がかけ離れたものではなく、
すぐそこにある、と感じられたとき、
モチベや自信につながり、
本当にそれが実現してしまう。
こういう現象が面白いなと
思うんです。
今や9秒台を記録した人は、
世界に153人もいます。
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これ、日本でも同じ現象が
起きてますよね。
ぼくも陸上部だったので、
中学生くらいから、興味の目で
テレビ中継など見ていましたが、
「日本人に9秒台は無理」という
屹然とした雰囲気がありました。
それまでの日本記録も、
ほんとに、
みんなの「思い込み」のために、
わざわざ調整したかのように、
10秒00ジャストだったんです。
1998年からなんと19年間も
更新されなかったのですが、
2017年に桐生祥秀選手が
9秒98をだした途端に、
日本でも9秒台が続出。
あ、日本人でも9秒台を
出してもいいんだ!
という新たな風潮が。
9秒台が日本人のなかでも
現実のものになった、と。
すごいですいよね。
*
ここで思うのは
大事なのは「風潮」なんだな
ということです。
自分がこうなのは当たり前、って
思っている「風潮」が
現実の自分を作るのであって、
「風潮」が変われば
自分の殻もやぶれていく。
こういう話を聞くと、
モチベーションがあがります。
2021/07/06